皆さんは、ルーフトップ・コンサート(Rooftop Concert / Rooftop Performance)という言葉を聞いたことがあるだろうか? これは、1969年1月30日にザ・ビートルズが、ロンドンにあった彼らの会社アップルの屋上で、映画『レット・イット・ビー』のラストシーン撮影のために突如行ったライブのことである。 この時、オフィス街で大音量のライブが予告なしで敢行されたのだが、これが音楽史上最も有名なゲリラライブと言われている。今この映像を観ても、とにかくかっこいい… と言うか、空気からして違う。 それだけに、多くのミュージシャンがルーフトップ・コンサートに憧れ、一度はやってみたいという欲求にかられるのも無理はない。日本でも、81年にサザンオールスターズが日本ビクター本社ビル屋上でゲリラライブを決行し、警察が出動するなど大騒ぎになったことがあった。もちろんビートルズを意識した行動だ。 U2は87年にアルバム『ヨシュア・トゥリー』を発表する際に、LAのダウンタウンのビルの屋上で「約束の地(Where The Streets Have No Name)」のミュージックビデオをゲリラ的に撮影しているが、これも相当にイケている。警察に止められて演奏終了というのも、なかなか理想的な終わり方だ。 このバンドの連中は、このような形で公衆の面前に出てくるのが本当に好きなようで、2009年にもロンドンのオックスフォード・サーカス近くにあるBBCの屋上でサプライズ・ギグを行なっている。 幸か不幸か、彼らのこうした性癖(?)は今でも全く治っていない。2015年には年甲斐もなくNYの地下鉄の駅構内に変装して現れたし、2017年にもNYの街角で演奏している。いずれもTV番組の企画だったようだが、何度もこうして登場するというのは、きっとスタジアムのライブなどとは別の種類のエクスタシーが味わえるからだろう。 それにしても、僕たちは、どうしたらこういう幸運に遭遇することができるだろうか? それを考えると、規制の厳しい日本に住んでいることを悔やまずにはいられない。Song Data ■ Where The Streets Have No Name / U2 ■ 作詞・作曲:U2, Bono ■ プロデュース:Daniel Lanois, Brian Eno ■ 発売:1987年8月31日(87年11月7日 13位) ※2016年3月15日に掲載された記事を加筆修正。
2018.03.27
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