なんとあのチャック・ベリーが新作を発表!! 90歳!になったばかりの御大が来年38年ぶり!のニュー・アルバムをリリースするというニュースには、ディランのノーベル賞受賞のニュースにも負けないくらい驚いてしまいました。
私がチャック・ベリーの存在を初めて知ったのは、80年代。ビートルズがチャック・ベリーの曲をカヴァーしていたからですが、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でのマーティ(マイケル・J・フォックス)による「ジョニー・B.グッド」を見てダックウォークしながらの演奏法を知り、ようやくミュージシャンとしてのチャック・ベリーをイメージすることができました。映画ではチャック・ベリーがマーティの演奏を見て度胆を抜かれるという設定が面白かったですね。言うならばチャックは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」における過去も未来もずっと現役ということです。スゴイ!
すでに新作をリリースすることなく伝説化していたチャック・ベリーですが、87年、彼をさらに知ることができる映画に出会いました。チャック・ベリーの還暦を祝うスペシャル・コンサートをキース・リチャーズがプロデュースした映画「ヘイル!ヘイル!ロックンロール」です。ビートルズやストーンズ、クラプトン、スプリングスティーンなどに崇拝され数々の名曲を生んだロック界の巨人、チャック・ベリーとはいかに凄い人なのか? 期待を持って観てみるとその期待は見事に裏切られます。いい意味で。
キースがコンサートを成功させようとしてるのに文句たらたら、リハもちゃんとしない。発言もまさにお山の大将状態でハッタリをぶちかます。ひどく手を焼いてるキースも小言を言いながらも最後までサポートする。でもそんなキースも周りのミュージシャンも観ている側もなんだかチャックを許せてしまう。彼の功績を称えるビッグ・ネームのミュージシャンの発言がうまくインサートされるのもあるんですが、チャックのキャラに魅了されてしまうんですよね。
そして更に感心してしまうのです。このいい加減なオッサンがロックのお手本的な名曲を数多く生み出していることを。ギターリフに著作権があったなら今頃チャックは億万長者だと言われてるように、ロックのギターリフ自体を生み出したことを。
いまやロック界のぼやきジジイと化した(失礼)キース・リチャーズが、自分にとってのヒーローを献身的に支える姿も今となっては貴重。それだけでも見る価値ありですが、キースは勿論クラプトン、ジュリアン・レノンなどスター勢揃いのステージも見ごたえ満点の名作ロック映画です。
何はともあれこの「生ける伝説」が90歳にして新作を出すことは、ロック界の新たなエポック・メイキングです。ストーンズもまだまだやることがありますな。
最後にジョン・レノンのこの言葉を。
If you tried to give rock and roll another name,
you might call it 'Chuck Berry'.
ロックンロールに別名を与えるとすれば、それは『チャック・ベリー』だ。
2016.11.14
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