寅さんといえば、やっぱり、あの主題歌。多分、日本人ならあのイントロを聞くだけで「あ!」って思ってしまう。
私生まれも育ちも葛飾柴又です
帝釈天でうぶ湯を使い
姓は車 名は寅次郎
人呼んで フーテンの寅と発します
80年代の寅さんは、シリーズで最も愛されたマドンナ・リリー(浅丘ルリ子)が三度目の登場。日本映画界が斜陽と言われる状況でも『男はつらいよ』は人気を保ち続け全48作中19本(※)がこの10年間に上映されている。
人気を保っていた理由は、寅さんのシリーズを通じての安定感に加えて、実力派俳優だけでなく、当時人気の出てきたタレント、歌手なども起用し話題を提供してきたことかもしれない。
そう、寅さんやマドンナ、ゲストに痺れさせられる、大人のための極上のアイドル映画が80年代の『男はつらいよ』。
1982年公開の『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』には、ジュリーと田中裕子が出演。田中裕子のマドンナに寅さんは一目惚れ。でも、結局、二人のキューピッド役になる安定展開の王道ストーリー。
これまで、ジュリーは『太陽を盗んだ男』や『魔界転生』といったクセのある主役を務めてきたけど、ここにきて、真反対のシャイで奥手なチンパンジーの飼育員役は新鮮でした。
ジュリーが寅さんに相談をしながら、恋を成就させるまでの過程は三枚目に見えるほど。それでも最後の観覧車の中での不器用な告白をする場面は名シーン!
ジュリーと田中裕子が不倫から結婚至るきっかけがこの映画なのが納得。寅さんは家族で観る映画なので不倫報道の結果、当時うちの頭の固い家族からはこの映画の評価は残念ながら低かった。でも、すでにおませだった私は、あんないい女の田中裕子を落とすなんて、やっぱりジュリーカッコイイーーーッ!! って、痺れたものでした。
対する、寅さんは結ばれた二人を祝福しつつ「やっぱり、2枚目はいいなあ」と寂しそうにさくらに言い旅立つラストシーンが飛び切り切ない。ジュリーに負けてない、男の色気を最後に見せつけてこの映画は終わる。
ジュリーに散々こころ踊らされたのにこの身の引き方、生き様に「やっぱり、寅さんはいいなあ」と最後に良いところを持っていくのは寅さんなのでした。
※注:1980年代に公開された寅さん
第24作『男はつらいよ 寅次郎春の夢』(1979年12月28日公開)から第42作『男はつらいよ ぼくの伯父さん』(1989年12月27日公開)
歌詞引用:
男はつらいよ / 渥美清
2017.09.04
YouTube / Red Arrows
YouTube / sinobu akiyama
Information