1月
さらばできない青春の光「ブラボー ジョニー」は今でもハッピーエンド
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KENZIのアルバム「BRAVO JOHNNYは今夜もHAPPY END」がリリースされた日
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photo:Amazon  

高1の時友人が、ある男子校でバンドをやっていたイチロー君を紹介してくれた。彼はライブで対バンできる高校生を探していた。バンドを始めたばかりだったが、すぐに会った。

彼はボーカルで、日本のパンクバンドのコピーをやっていた。私もラフィン・ノーズやブルー・ハーツが大好きだったので意気投合、すぐにつきあい始めた。

彼とは、放課後に御茶ノ水で会うことが多かった。駿河台下の「ジャニス」という貸しレコード屋を教えてくれて一緒に行った。御茶ノ水は定期券内だったので、デートがない日もジャニスに通った。ジャニスには、今思えばびっくりするようなパンクのレア盤のレコードがレンタル品としてぽんぽんおいてあった。

そこで見つけたのがKENZIのLP、『BRAVO JOHNNYは今夜もHAPPY END』だった。ぬいぐるみを片手に持った、破れたジーンズをはいたイカレた目つきの男がこっちを見て笑っていた。少しイチロー君にも似ていた。すぐに借りた。


けたたましく

 ブラボー!!!!

と叫び、

 ジョにぃぃぃぃぃ~ 

と始まる。


一曲目の『BRAVO JOHNNYは今夜もHAPPY』は衝撃的で、「ふざけているのか?」と最初思った。しかし、明るく能天気なだけじゃない。


 許されないことはないのさ
 正義はいつでもエコヒイキ


というすさまじい宣戦布告のような歌詞に圧倒された。他の歌もそうだが、衝動で歌っているのかと思いきや、日本語歌詞の内容や構成、メロディーへの乗せ方が天才技だった。聞いたことのあるような陳腐なメッセージではなく、心から絞り出された「宣言」を歌っていた。

イチロー君に話すと、ちょうど彼のバンドのギターのアキラ君がKENZIに夢中で、今コピーしていると言う。アキラ君はお金持ちで他のKENZIのレコードも持っていた。それをイチロー君がダビングしたカセットを、私がまたダビングして聞いた。

KENZIは、「パンクなバンドマン」である前に「パンクスタイルの詩人」だと私は思った。当時はKENZIの生い立ちやキャリアなど何も知らなかった。学校や社会に対する強い鬱憤を叫び、気がふれたかと思うほど明るくまき散らしていた、その表現の姿そのものに、釘づけになった。


社会に対しては、

 歪んでる何もかも 真っ暗闇だ世の中
 『裏切りのうた』

 イカサマ デタラメ
 ブタ野郎はいつも 
 終わるその日を夢見て全てを決め
 『HOTニキメチマエ』

と毒づきつつも、
正義と希望を楔のように打ち込む。

 そうさ キエナイゼ未来は
 HOTニキメチマエ
 (同)

 LEADERをつぶせ 王様はいらネェ
 嵌められた 首輪を引き千切れ
 『LEADERをつぶせ』


口先で歌うシンガーというより預言者のようだった。ライブでも見たが、楽しそうに跳ねながら、笑いながら、怒りや救いの言葉を叫んでいた。

KENZIを知って少したった頃。イチロー君のバンドのライブでは、ダイエースプレーで髪を立たせたイチロー君もアキラ君も叫んでいた。


 ワオー!ワオー!
 ワオー!ワオー!ワオー!!
 ブラボージョニーは今夜もハッピー!!!


KENZIがやるみたいに手を上げて客を煽っていた。彼らの友達のパンクスもヤンキーも柔道部も、もみくちゃになって叫んでいた。私もモッシュの中で叫びながら、本当にハッピーだと思った。

その後KENZIは公式サイトで「ブラボージョニー」のことを「全ての理不尽・不条理をテーマにした曲。言ってみりゃ正義の味方の曲だ!!」と説明していた。世の中いつでも真っ暗闇、理不尽・不条理は今もまったく消えていない。

でも「正義の味方」は確実にいる。そして未来をHOTにキメたくなる希望を持てるか持てないかは、自分次第の問題なんだと、KENZIを聞くたびに思い、いまだに励まされる。「さらばできない青春の光」である。

2017.05.12
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カタリベ
1971年生まれ
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