『THE AMERICAN GUITARS』というテレビ番組をご存知だろうか? 1992年にフジテレビで深夜に放送された、毎回1社ずつアメリカのギターメーカーを紹介するドキュメンタリー番組だ。先日、自宅の屋根裏部屋の整理をしていた時に、この番組を録画したビデオが見つかった。番組を毎週忘れずに1本の VHSテープに3倍モードで順番に留守録したもので、自分の几帳面な性格にキモさを感じながらも、嬉しさのあまり一気に見てしまった。
『THE AMERICAN GUITARS』は30分番組で全11回、リッケンバッカー、スタインバーガー、オベーション、フェンダー、G & L、ナショナル、ギブソン(アコースティック)、ギブソン(エレクトリック)、ヘイマー、ギルド、マーチンのギターを紹介したものだ。各回とも、工場がある現地の風景から始まり、作業風景、経営者やギター・ビルダー、そのギターを愛用するミュージシャンなどへのインタビューで構成されたシンプルながらも、とても丁寧に作られた番組だった。
ベースボールよりもハンダゴテで遊ぶ少年期を過ごしたラジオ修理技師、ギターの構造に疑問を持ちヘッドのないギターを作り出した家具デザイナー、花壇や灰皿の代わりに使われるようになってしまったスティール・ボディのギターを復活させた男、ギブソン ES - 125 だけを弾き続けるギタリストなど、ギターに関心がない人には、何のことやらな話だろう。でも番組はそのギターに関わっている人たちの強烈なギター愛を映し出す。彼らがいなかったら、ここで紹介されたいくつかのギターは世の中に存在せず、音楽は今よりも少し面白味がないものになっていたのかもしれない、と思わせられるのだ。