6月26日

オレだけのテーマソング、受験の友はソニック・ユースのアルバム「GOO」

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ソニック・ユースのメジャーデビューアルバム「GOO」が全米でリリースされた日
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photo:UNIVERSAL MUSIC  

受験シーズンである。

この平成末期を生きるいたいけな受験生たちに「勉強する時のテーマ音楽」などあるのかどうか定かではないけれど、僕が受験生だった頃は、誰に教わるわけでもなく「オレだけの受験テーマソング」みたいな音楽が存在していた。

机に向かう前に、ここぞの時の一枚を儀式のように厳粛にオーディオにセットし、神聖な空気を整えた後に「さぁーて、やるかっ!」と教科書・ノートを開くのである。

僕の学年世代だと、岡村孝子「夢をあきらめないで」、KAN「愛は勝つ」、大事MANブラザーズバンド「それが大事」、槇原敬之「どんなときも。」あたりが代表的な受験頑張れソングだったように記憶している。

けれども僕は、高校3年のその冬、そうとう鬱屈していた。最終学年の吹奏楽部では結果を残せず、同じ大学に行こうと約束した彼女との恋にも破れ、かと言ってグレたり進路をあきらめたりするタイミングも逃し、気がつけば大学受験で一発逆転の見返しを誓うだけの陰鬱な18歳の冬を迎えていた。そして崖っぷちの気分で、東京で一人暮らしをしているはずの来たるべき春をひたすら待ちわびていた。さぁ、これから本気出すぞ! と重い腰を上げたのは年が明けてからだ。まず音楽を選ぶ。

邦楽は歌詞に気を取られるからダメだ! おのれを追い込むようなトゲトゲしい音がいい。

焦燥感に満ちた強迫観念がいまのオレには必要だ。

―― などと悩んだあげく、僕が受験勉強用に選んだのが、ソニック・ユースのアルバム『GOO』だった。振り返ってみれば中二病的選択なのだけれど、「真剣モードに入るためにはこれしかない!」と願掛けにも似た切羽詰まった気持ちを込めて選んだ一枚だ。

『GOO』は、80年代を通じて USインディ・シーン / アンダーグラウンドの大物だったソニック・ユースが90年に発表したメジャー第1弾である。彼らにしては比較的ポップな作風といえるが、まったく明るさはない。ダークで、攻撃的で、どの曲も歌詞の内容は破滅的。ニューヨーク仕込みの先鋭性の中に、負のエネルギーが爆発している。受験勉強向けとは言い難い。


しかし、彼ら特有の混沌としたテイストこそが、あの時の僕の心境に一番ピッタリと寄り添うものだった。受験生の心の中というのは、正体不明の渦巻き星雲の如くモヤっとしている。当時の僕にしてみれば、ソニック・ユースのカオティックでノイジーなサウンドが、僕に代わってモヤモヤを吐き出し、現状をブチ壊してくれているように感じていたのだと思う。

そんなわけで、僕は平成末期の受験生諸君にも「受験の友にソニック・ユースを!」とオススメしたい。うつらうつらと眠ってしまいそうな時には、暴力ティーチャーと化した大男サーストン・ムーア(vo, g)にド突かれたり、スパルタ女教師を演じるキム・ゴードン(vo, b)の馬のような足で思いっきり蹴りとばされる姿を想像するとよいぞ!

ソニック・ユースの音楽には、10代のある時期に集中的に聴くべき音のエッセンスが詰まっていると、僕は今でもかたくなに信じているのであるが… でも、でもですね。果たして受験の結果自体は喜ばしいものだったものの、もし、もう一回受験勉強やれと言われたら、僕は好きだった彼女と一緒に「愛は勝つ」を聴きながらこたつで勉強したい!!

消しゴム貸し借りしながら「夢をあきらめないで」を聴いていたい!! こんちくしょー。

2019.01.30
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  YouTube / Sonic Youth


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カタリベ
1974年生まれ
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