いろいろ調べてみたけど、ニューミュージックというジャンルを明確に定義する文献などは無いようだ。ちなみに広辞苑でニューミュージックを引いてみると “わが国で、1970年代から盛んになった、シンガーソングライターによる新しいポピュラー音楽の総称。欧米のフォークソングやロック・ポップスの影響下に成立” とある。高名な音楽評論家の方の見解も様々でとてもまとめられないので、ここからは、あくまで僕個人のニューミュージックの話として読んでください。
僕の中でのニューミュージックの定義は単純で、ニューミュージックとはシンガーソングライターによる曲。歌謡曲や演歌は作詞・作曲と歌う人(歌手)は別。ニューミュージックは作詞・作曲をした人が自分で歌う曲。じゃあ、フォークとニューミュージックの違いは何かというと、古いか新しいかだ。
1970年代が小中学生だった僕は、この程度の切り分けでニューミュージックというジャンルを捉えていた。当時の僕が大好きだった日本のミュージシャンは、かぐや姫や、アリスや、さだまさし… などなどで、彼らもニューミュージックというジャンルで括られたりしていたけど、小学生低学年から聞いていたこともあって、フォークとは違うのかな、フォークでいいんじゃないか、となんとなく違和感を覚えていた。
“なるほど、これがニューミュージックか” と、僕がハッキリと意識した曲は、松山千春の「季節の中で」だ。この曲がリリースされたのは1978年8月21日、僕が中学1年生の時。この曲以前の松山千春はまったく知らなかったし、当時定番だった音楽番組『ザ・ベストテン』で1位になっても番組への出演を拒否したり、今までのフォークソングと違い、その歌詞も壮大な大地をイメージさせるものだったり、TVCM に採用されたりと、オリコンチャート1位を獲得し、累計枚数でミリオンを達成したこの大ヒット曲は、いろいろな点で新しく、まさに僕にとってはニューミュージックだった。
好きなシンガーソングライターは他にも沢山いるけど、今改めて振り返ってみても、僕の中でのニューミュージックというジャンルのアーティストは、何故か松山千春のみである。大学生の頃は既にニューミュージックという言葉は死語に近かった気がするし、だからか、その頃から聴き始めた松任谷由美やオフコースはニューミュージックというイメージがないのかもしれない。
今の若者はニューミュージックという言葉を知っているのだろうか。僕たちの時代、人それぞれだとは思うけど、確かにニューミュージックという音楽ジャンルはあったんだ。でも変な言葉だよね。もし、“懐かしのニューミュージックコーナー” なんていうものが CDショップにあったとしたら、古いのか新しいのわからないコーナーになってしまう。死語となって良かったんだね、きっと。
※2016年10月18日に掲載された記事をアップデート
2019.08.21
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