共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.16 Queen Of Hearts / Juice Newton アメリカを代表するシンガー、テイラー・スウィフトの出自は?
今やアメリカを代表するシンガーとなったテイラー・スウィフトがヒットソングを量産しだしたのが2008~2009年。カントリーミュージックを出自とするテイラーがスター街道を駆け登っていく中、2011年前後のアメリカは空前のカントリーブームとなっていた。
もちろんアメリカにおけるカントリーソングは、(主に地方在住の白人層から)常に絶大なる支持を得ているが、この時期における大衆音楽のメインストリームへの席巻ぶりは目を見張るものがあった。ビルボードのナショナル・シングル・チャート、HOT100内の30曲以上がカントリーシンガー(あるいはカントリー所縁のシンガー)によって占められるという状況が長らく続いていたのだ。
1981年に巻き起こった空前のカントリーブーム
メインストリームのシングルチャートを席巻するという意味では、これは1981年以来の現象といえる。そう、1981年のアメリカではちょっとしたカントリーブームが巻き起こっていたことは意外に知られていない。
前年の1980年に、『アーバン・カウボーイ』(ジョン・トラヴォルタ出演)、『忍冬の花のように』(ウィリー・ネルソン出演)といったカントリーをベースにした映画及びサントラがヒットしたという背景もあって、1981年のHOT100は新旧カントリーシンガーの作品が例年以上に上位進出していた。
イケメン新進男性シンガー、エディ・ラビット「恋のレイニー・ナイト(I Love A Rainy Night)」が全米No.1を獲得したのを中心に、ベテランのキム・カーンズ、ケニー・ロジャース、ロニー・ミルサップ、中堅アラバマやオークリッジ・ボーイズ、その他新人シンガーたち… メドレーとカントリーのブームは1981年の特徴的事象だったのだ。
美人シンガー、ジュース・ニュートンの目覚ましい活躍
そんな中、女性カントリーシンガーで最も目覚ましい活躍をしたのが、当時29歳の美人歌手、ジュース・ニュートン! アルバム『ジュース』(1981年)からは、「夜明けの天使(Angel Of The Morning)」、「クイーン・オブ・ハーツ」、「スウィーテスト・シング」と、3曲ものトップ10ヒットが生まれていた。そう、80年代14番目に誕生したナンバー2ソングは、ジュース・ニュートンの「クイーン・オブ・ハーツ」である。
1981~1983年くらいは結構ヒットを連発していたジュースだが、一連の全米トップ10クラス作品の日本での認知度・共有感は、まあそこそこといったところだろうか。そんな中でも、自己最大ヒットであり楽曲自体の魅力が半端ない「クイーン・オブ・ハーツ」と、当時HONDAのテレビCMでも使用された「愛のサンシャイン(Love’s Been A Little Bit Hard On Me)」が頭一つ抜きんでている印象だ。
ちなみに、ボニー・タイラーの大ヒットナンバー「愛は哀しくて(It’s A Heartache)」を、ボニーとほぼ同時期にレコーディングしており、楽曲の巡り合わせの数奇を感じざるを得ない。
Song Date
■ I Love A Rainy Night / Eddie Rabbitt(1981年1位)
■ Angel Of The Morning / Juice Newton(1981年4位)
■ Queen Of The Hearts / Juice Newton1981年2位)
■ The Sweetest Thing / Juice Newton(1981年7位)
■ Love’s Been A Little Bit Hard On Me / Juice Newton(1982年7位)
■ It’s A Heartache / Bonnie Tyler(1978年3位)
※ KARL南澤の連載「共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味」
ジャンル、洋邦、老若男女を問わないヒットソングにある ‟共有感”。米ビルボードのチャートがほぼそのまま日本における洋楽ヒットだった80年代。ナンバーワンヒットにも負けず劣らずの魅力と共有感が満載の時代に生まれたビルボードHOT100 2位ソングを紐解く大好評連載。
■ ペット・ショップ・ボーイズ、ダスティ・スプリングフィールドとの共演シングル!
■ バングルス「冬の散歩道」大衆音楽の歴史における屈指のカバーソング!
■ ホワイトスネイクが気を吐いた!全米チャートでヒットした2曲のロッカバラッド
etc.※2017年2月13日に掲載された記事をアップデート
2020.09.19