1月29日

岡田有希子「くちびるNetwork」輝き続ける永遠のラストシングル

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Seiko×坂本龍一、岡田有希子最大のヒット「くちびるNetwork」


毎回恒例になっていた、資生堂とカネボウのキャンペーンソング対決。1986年春は、資生堂が、自身でモデルも務めた中山美穂の「色・ホワイトブレンド」。カネボウが岡田有希子「くちびるNetwork」で、イメージキャラクターには沢口靖子が起用された。

「くちびるNetwork」は、当時、結婚・妊娠のために芸能活動休止期間中だった事務所の先輩、松田聖子がSeiko名義で作詞を手がけたことも話題となった。さらに映画『戦場のメリークリスマス』で世界的な名声を得ていた坂本龍一の作曲という肝煎りの一曲。

「カネボウ化粧品 86年春のバザール」キャンペーンソングとして先行放映され、レコードが1月29日に発売されると、初のオリコンチャート1位を獲得して岡田有希子最大のヒットとなる。大人っぽく攻めた内容の松田聖子の詞でも、清純なイメージが損なわれなかったのは、岡田のヴォーカルの凄味である。

キャンペーンソング対決、相手は中山美穂「色・ホワイトブレンド」


「色・ホワイトブレンド」との対決も、僅差ながらも順位、売上枚数ともに優勢を誇ったのだった。1985年に歌手デビューして破竹の勢いで人気を膨らませていた中山美穂に、竹内まりやが曲を提供した強力タッグとの一騎打ちだったわけで、岡田有希子はこの時、間違いなくアイドル界の頂点に立ったといえる。2月から3月にかけて全国で開催された握手会キャンペーンも大好評で、初日の東京・後楽園ホールには4,000人のファンが集まったという。

考えてみれば、岡田有希子のデビュー曲「ファースト・デイト」は竹内まりやの作詞・作曲、その後も竹内は多くの楽曲を岡田に提供していた。CM上のこととはいえ、対抗馬となる中山美穂の作品が竹内の曲だったのは、なんとも皮肉な巡り合わせだったと思わざるを得ない。そんな背景があった上でのNo.1ヒットで、アイドル・岡田有希子が確実にステップアップを遂げたことは間違いない。

永遠の18歳、大切にしたい岡田有希子の明るい笑顔


しかしながら、それから少し後の4月8日、岡田が突然若い命を自ら絶ってしまうという、あまりにも悲しい出来事が起きた。アイドルとして絶頂の中で、いったい何故? と、誰もが疑問を抱かざるを得なかった。

岡田有希子のことを書くとどうしてもこのことに触れずにおけないのは非常につらい。必要以上には言及したくないが、我々の記憶の中で、永遠の18歳のまま生き続ける、彼女の明るい笑顔や躍動的な姿を、これからも大切にしていきたい。当時を知る者ならばファンならずとも、きっと同じ想いのはずだ。

幻になったシングル「花のイマージュ」


「くちびるNetwork」は、結果的に岡田有希子のラストシングルとなった。5月14日に発売される予定だった新曲「花のイマージュ」は幻のシングルとなってしまったのである。ジャケットデザインも既に出来上がっており、少し大人びた表情の美しい写真があしらわれていた。

音源は後になって、1999年に編まれたCD『岡田有希子 メモリアルBOX』で日の目を見ることになる。2014年のCD『ゴールデン☆アイドル 岡田有希子』ですべてのシングルレコードジャケットがブックレットで復元された際には、未発売だった「花のイマージュ」も掲載されて公式なものとなった。

直系の後輩アイドルグループ さんみゅ~がカバー「くちびるNetwork」


2013年には、サンミュージックから久々にデビューしたアイドルグループ “さんみゅ~” が「くちびるNetwork」でデビューする。直系の後輩がカヴァーしたことで、長年に亘って封印されていたかのような曲がようやく解き放たれ、本来の曲の魅力が甦ったような気がする。

彼女たちのキャッチフレーズ「明るく、元気に、爽やかに 21世紀最初の純白アイドル」に、“清純” という言葉がもっともよく似合うアイドル、岡田有希子の姿を重ね合わせて、感慨に耽ったファンは多かっただろう。さんみゅ~は2020年に解散。岡田の歌を歌い継ぐ、サンミュージックの新しいアイドルはまた現れるだろうか。


※2021年4月8日に掲載された記事をアップデート

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2022.04.08
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カタリベ
1965年生まれ
鈴木啓之
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