子どもの頃、工作が好きだった。小学館の学習雑誌に付いてきた<山折り・谷折り>系の付録はとりあえず作ってみる。壊れた電化製品は分解して、もう一度組み立ててみる。パズルもプラモも一度はバラバラにして自分で作ってみる。誰でもそんな時期があると思うが、小学生の頃の自分は、まさにそれだった。
1982年5月、佐野元春がサード・アルバムにして出世作『SOMEDAY』をリリース。<山折り・谷折り>をとうに卒業して音楽に入れ込んでいた高校一年の自分は発売と同時にゲットだ。しかし、ここで昔の癖が疼いた。このアルバムの歌詞カードは一風変わっていて、切って貼って自分で製本するブックレット式になっていたのだ。工作するしかない... 一枚一枚を点線に沿って切り離し、ページを確認して製本。デキはあまり良いとは言えないが、全48ページの薄型ペーパーバックが完成した。
しかし、この厚みの書物をスリーブに入れておいたら、レコードがソリ盤になってしまうのでは? 高校生のボンクラ頭でも、レコが曲がることくらいは知っている。かといって、レコと別保管すると整理整頓の苦手な自分は確実に紛失するだろう。迷った挙句、ブックレットを再分解し、バラバラに散らしてスリーブに収めた。音楽が主役である以上、仕方ねえか… と言い聞かせつつ。
あれから30年以上が過ぎ、『SOMEDAY』はCDで買い直した。それでも当時購入したアナログ盤は手放せない。中古盤店に売っても、解体された歌詞カード付きでは買いたたかれるに違いない。かといって捨てようとも思わないのは、内容が素晴らしいのはもちろん、工作の思い出も残っているから。そして反っていないアナログ盤は今も時々ターンテーブルに乗っかり、味のある音を出してくれる。
2016.02.05
YouTube / 佐野元春 - DaisyMusic
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