ダウンタウン・ボーイ、佐野元春が82年にリリースしたサードアルバム「SOMEDAY」に収録されている名曲だ。前年にシングルとして発売されているものの、僕が知ったのはアルバム「SOMEDAY」を聴いた時から。そして、一聴した瞬間好きになった。
この曲は、街に暮らしていく中で、何かを失いそうになってしまう危うげなティーンエイジャーたちの物語。歌の中には「本当のものよりきれいなウソに夢をみつけてるあの娘」だったり「すべてをスタートラインにもどしてギヤを入れ直してる君」とか「たったひとつだけ残された最後のチャンスに賭けているブルーボーイ」など、そこに登場する誰もが、迷いながら立ち止まっていた。いつの世においても10代には10代なりの悩みや葛藤があって、そのちょっとネガティブな感じがティーネイジャーの胸に刺さったのだろう。恐らくみんな「オレのことを歌ってる」なんて自意識過剰に思ったはずだ。
しかし、僕がこの曲から一番教わったことは、なんと言ってもロックンロールにおける最重要キーワード「But it's alright」というイディオム。悩み、迷いながらも「But it's alright, Yes he's a Down Town Boy」と締めくくられるこの曲を何度も何度も聴いているうちに、困った時でも「But it's alright!」 何があっても「But it's alright!」 寝ても覚めても「But it's alright!」みたいなマインドが当たり前の状態になっていった。
図らずも同時期、ローリング・ストーンズの「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」を聴いて、その中にも同じフレーズがあることを知り、一人でニヤニヤしていたことが思い出される。あれから35年くらい経つけれど、そのマインドはほとんど変わっていない。いいのか悪いのか、それはそれで大丈夫なのか、本当に問題ないのか、能天気すぎないか、俺。うーん… ( ̄ー ̄;
ちなみに、歌詞の中に出てくる「マーヴィン・ゲイの悲しげなソウルにリズム合わせてゆけば」なんてフレーズからマーヴィンを知ったのはいいが、そこは田舎の高校生。「ワッツ・ゴーイン・オン」に辿り着くのは随分後になってから。その年の冬にヒットしていた「セクシャル・ヒーリング」を聴いて、これが悲しげなソウル? ずいぶんエロいじゃん、なんて思っていたことは余談か。
2016.05.19
YouTube / kiss1980
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