1980年代に世界で最も活躍したアーティストを1人選べと言われたら、フィル・コリンズ(ジェネシスのドラマー兼ボーカリスト)をおいて他にいないだろう。
まずは、彼が80年代にリリースしたシングルのうち、全米シングルチャート(Billboard Hot 100)で1位になった楽曲を見て欲しい。
・見つめて欲しい(Against All Odds (Take A Look At Me Now)、1984年)
・ワン・モア・ナイト(1985年)
・ススーディオ(1985年)
・セパレート・ライヴス(1985年)*フィル・コリンズ&マリリン・マーティン
・インヴィジブル・タッチ(1986年)*ジェネシス
・恋はごきげん(Groovy Kind Of Love、1988年)
・トゥー・ハーツ(1989年)
・アナザー・デイ・ イン・パラダイス(1989年)
フィル・コリンズ、「ライヴ・エイド」ではコンコルドで移動
もちろん、これらだけではない。彼は、バンド・エイドの「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?」でも当たり前のようにドラムを叩いているし、85年7月13日に行われた20世紀最大のチャリティコンサート『ライヴ・エイド』において、ロンドンとフィラデルフィア両方の会場に出演した唯一のアーティストであった。なんとロンドンで演奏した直後に、超音速旅客機コンコルドでフィラデルフィアに移動したのだ。
僕の音楽仲間の間で「チャリティおじさん」と呼ばれていた彼の働きぶりは、まさにワーカホリックそのもので、チャリティコンサートへの出演だけでなく、フィリップ・ベイリー『チャイニーズ・ウォール』やエリック・クラプトン『ビハインド・ザ・サン』『オーガスト』といったアルバムのプロデュース、さらには映画『バスター』(88年公開)に主演するなど、彼の名前を聞かない日はないほどだった。
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2023.01.30