竹内まりや三部作に続き、尾崎亜美が手掛けた「二人だけのセレモニー」
岡田有希子「二人だけのセレモニー」は、“竹内まりや三部作” に続く4枚目のシングルとして 1985年1月16日に発売された。
それまでの三作とは少し違う雰囲気で、吐息交じりで囁くように歌うユッコが可愛らしい。「二人だけのセレモニー」というタイトル通り、まるで耳元でユッコが話しかけてくるようだ。
オルガンのように優美な響きから始まるイントロと、軽やかなサビ。その二つの要素が絶妙に融合していて、ユッコの繊細さとアイドルらしい可愛らしさが表現されている。私はこの曲が岡田有希子の曲の中でもかなり好きなのだけど、それは作曲が尾崎亜美であるからだと思う。
「オリビアを聴きながら」
「時に愛は」
「ボーイの季節」
「天使のウィンク」
数々の名曲を紡いできた彼女のメロディには洒落ているのにどこか懐かしく、胸の奥をキュッと締め付けるものがある。「二人だけのセレモニー」のイントロはまさにその典型だ(もちろん編曲の松任谷正隆の力も大きいのだろうけど…)。
魅惑的な岡田有希子、少女の世界から大人びた危うい雰囲気へ
少女らしい可憐さのある、ファンタジックな歌詞とシチュエーション。Aメロの可愛らしい囁きと、だんだんと早くなるテンポ。
誘われて踊るのは
あなたが最初 決めてた
とまどいも卒業よ
あふれるほどに あなたが好き
目を閉じていい?
そして甘いセレモニー
それはまるでキスまでのカウントダウンで早まる鼓動のようだ。
三部作までの少女の世界より、少し大人びた危うい雰囲気を感じる… 歌詞、メロディ、歌い方、共に言えることだけど、そんな魅惑的な彼女に胸をときめかせてしまう。気がつけば、岡田有希子というアイドルにすっかり魅了されている。
亡くなったアイドルではなく、ときめいたアイドルとして…
かつて、私にとっての岡田有希子は「若くして亡くなった」アイドルに過ぎなかった。しかし、歌謡曲バーでアルバイトをしていると、当時リアルタイムで彼女を応援していた人たちがいることを肌で感じるようになった。
伝説のアイドル達を生んだ80年代というあの時代に、紛れもなく岡田有希子の才能は光り輝いていた。キラキラとした瞳に、つやつやの肌。微笑むと膨らむ頬が可愛らしい。彼らにとっての岡田有希子はまぎれもない「アイドル」であって、彼女が突然この世を去った時の感情を想像すると、身を切られるような気持ちになる。
そうした人たちの視点立った時、私の中でユッコへの見方が変わった。
岡田有希子を「亡くなった」アイドルとして見るのではなく、80年代をときめいたアイドルの一人として、ちゃんと知ってみよう、触れてみようという気持ちになったのだ。もちろんその最期は決して無視されるべきものではないけれど、当時彼女の曲を聴いてた人たちと同じ視点で楽しみたいと感じた。
※2019年1月16日に掲載された記事をアップデート
2020.01.16