共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol. 40 All I Need / Jack Wagner 80年代38番目に誕生したナンバー2ソング、ジャック・ワグナーの「オール・アイ・ニード」(85年1月2週2位)は、歴代80年代ナンバー2ソングの中でも1、2を争うくらいに共有感の低い作品かもしれない。 時に80年代のナンバー2ソングは、ナンバーワンソングを凌駕するヒット感を伴うものがあったりするが、ことこのジャック・ワグナーのほぼ一発ヒット作品に関しては、それが当てはまっていなかったようである。一部のチャートファン、あるいは『ベストヒットUSA』世代にとっては、頭の片隅にほんのり残っているような、そんな作品がジャック・ワグナー「オール・アイ・ニード」だ。 1960年代から放映しているアメリカの人気昼ドラ『ジェネラル・ホスピタル』に84年から出演(なんと現在も放映中!)、ジャック・ワグナーは若手イケメン俳優として一気に全米のお茶の間のアイドルになる。 人気俳優、しかもイケメン、ならば歌でも当てちゃおうと考えるのは、いつの時代もどこの国でもあるもので、ジャックはその手法に見事乗ることができた、ということだ。 クインシー・ジョーンズ主宰のクエスト・レーベルからリリース。作曲・プロデュースにグレン・バラード(マイケル・ジャクソン、アラニス・モリセット等のプロデューサー)を立てていたり、サウンドクオリティ面もしっかりと構築されている点も、見逃せないヒット要因ではある。 いわゆる80年代の洋楽ヒットが映像と共に最も派手に続々と排出されていたのが85年。そんな時代においてブレイクのきっかけとなったドラマが放映されていない日本では、どうしてもジャックの台頭ぶりが伝わりにくく、共有感を伴うヒットに至らなかったのは致し方なかったのかもしれない。そこはジョーイ・スキャベリーの「グレイテスト・アメリカン・ヒーローのテーマ(Theme From “Greatest American Hero”)」(81年)とは、大いに異なるポイントと言えよう。 ところで『ジェネラル・ホスピタル』といえば、リック・スプリングフィールドがひと足先に出演して、やはりブレイクのきっかけになった作品である。同じ “イケメン” ではあるが、シンガー出自のリック、俳優出自のジャック、その差こそが米国以外の国でのヒットポテンシャルの違いだったのかもしれない。 「オール・アイ・ニード」は、極めて80年代半ば的なバブリー&ゴージャスな雰囲気を纏った普遍的かつ美しいバラード作品。この手のタイプのヒットを持たないリック・スプリングフィールドが、この曲を歌っていたら、日本でも大ヒットだったのかも… なんてね。
2017.10.25
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