12月12日

全米ナンバー1のシンガーソングライターが河合奈保子に提供した王道AOR

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河合奈保子のシングル「THROUGH THE WINDOW ~月に降る雪~」がリリースされた日
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みなさま、ピーター・ベケットってご存知ですか?

この名前にピンとこなくとも、我々の年代だとプレイヤーというバンド名はご存知かと思います。初めて彼らの曲を聞いたのは中学生の頃でしょうか。小学校までは歌謡曲しか聴いていなかった私ですが、中学に入って同級生が洋楽を聴くようになった影響で80年代の最初の頃は洋楽一辺倒でした。

番組だとラジオ関東の『American Top 40』やテレビ朝日の『ベストヒットUSA』を見聞きするようになり、当時のヒット曲のみならず探求心で昔のヒット曲も聴くようになりました。みんなそうでしたよね!

そんな中、1978年の全米ナンバーワンヒット、プレイヤーの「ベイビー・カム・バック」を初めて聴いたときは衝撃を受けました。ものすごくカッコイイ!! 曲頭はドラムとベースから始まりエレキピアノが混ざる… そこから乾いたシタール風のギター。この素晴らしいイントロにヴォーカルが入っていきます。

歌いはじめの歌詞は――


Spending all my nights, all my money going out on the town
Doing anything just to get you off of my mind


ふられた彼女を忘れようと金を使って夜通し遊んでるぜい、という感じのやけくそになっている内容です (^^;)。ただ、この詞を曲に合わせて歌っていただけるとわかりますが、読むだけで Groove がでる歌詞ですよねー。

“ブルーアイドソウル” と言われるジャンルの曲で、ホール&オーツ、アヴェレイジ・ホワイト・バンドのようにソウルミュージックをベースにしているんだけど、洗練された雰囲気もあわせ持っています。これは当時、私が一番好きだった曲調で(もちろん今も好きですが…)、その後、自身でソウルミュージックのバンドをやろうと思った一因でありました。

サビも最高で、バンドメンバーとのコーラス。そして、ブリッジ(別のメロディー)が入った後――


Nothing left for me,(別メンバー)
ain’t there nothing left for me(メインボーカルでファルセット)
Baby come back, any kind of fool could see(コーラス)


これですよ! ファルセットで絶叫!!
これぞソウル! もう最高!!!

あ、冷静さを失ってすいません(^^;)。そしてもう一度サビに戻って、ギターソロ! 

いやあ、もう完成度高すぎです。素晴らしすぎて、これ以上に完成度の高い曲を作ることは、なかなか難しいでしょう。80年代になるとプレイヤーはヒットチャートにはあまり登場しなくなりましたが、兎にも角にもこのバンドのリードボーカルにして、リードギターであり、作曲者なのがピーター・ベケットさんであります。

さて、そんな私の全米ヒットブームも一段落した高校2年生の頃、再びピーター・ベケットさんの名前を耳にします。1985年12月、当時のトップアイドルであった河合奈保子さんの新曲「THROUGH THE WINDOW ~月に降る雪~」が、なんとピーター・ベケット作曲だったのです!

当時聴いてすごく良い曲だと思いましたし、今聴いても、ギターリフも良いし、リズムやコーラスもかっこいいし、最後のギターソロも含めてやっぱりプレイヤーの曲なんですよねー。でも、この曲の売上げは当時の河合さんクラスのアイドルとしては決して良いものでは無かったようで、時代が早すぎたのかもしれません。

個人的にはアイドル全盛のバブル期に、王道AOR ともいえるこの曲をもってきたスタッフのチャレンジ精神も、さらっと唄いこなしている河合さんの歌手としての実力もすごく素敵だと思っています。

この曲、今だったらもっと R&B風のアレンジで宇多田ヒカルさんとか JUJU さんみたいな方が、しっとり、かつソウルフルに歌いそうな曲のような気がするのは私の勘違いでしょうか…

ちなみに作詞は売野雅勇さんですが、クレジットを見てみると訳詞となっていて、実際はピーターさんの作詞作曲です。ですから、ピーターさんのデモテープにはやっぱりファルセットが入っていたのかなあ、なんて妄想が膨らみますね。現在もプレイヤーは現役でやっているそうなので、来日公演あったら聴きに行きたいなあ。


※2016年11月11日に掲載された記事をアップデート

2018.12.12
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1960年生まれ
Lilith
Peter BECKETTで検索した記事を発見。貴方の「Baby Come Back」について書かれた内容が余りにも嬉しくて、肯けて、これを書いています。

実は私も「Through The Window」のシングルを購入した一人です。PLAYERの消息を求めていた頃、偶然目を止めたTV画面にPeter Beckettの名前を見つけ、一瞬わが目を疑い、でも紛れもなく! まさにRe:MINDERにクリップされたあのビデオです。私は泣きました。力強い音にいくらか増した暗さと、ブリッジに健在なしなやかさ繊細さに、あぁ、ちゃんと生きて活躍しているんだ、と。むろん河合さんのファンでなくとも、翌日、仕事が終わるや否やレコードショップへ走りました。

私は、38年来のPLAYERの熱烈なファンです。貴方と同様に、今もありありと憶えています。あの前奏が薄闇を縫うようにして私に触れると、まっすぐに魂に届いたのを。当時の私には英語など一言も理解できなかったのに、肌が粟立ち、血が騒ぐのさえ覚え、そして身を千切られるような切なさに圧倒されたことを。それが、今この場につながる、すべての始まりとなりました。

これほど熱っぽく、「Baby Come Back」の素晴らしさを語ってくれた人は初めてです。当時も、また現在AORの伝道師として活躍中の音楽ライターの方々にしても、やはりご職業故に身に宿る熱情をそのまま表現できない立場にいらっしゃいますから。私は今、仲間を見つけた気分です。楽器を奏でない私には、貴方のようには言葉を紡げませんが、これは言えます。

ain’t there nothing left for me 
 ↓この一瞬の間が、次のコーラスと共に絶妙!!
Baby come back!

今年はチャートに入って40周年ですよね。完成も近いと噂のPeter Beckettの自伝も、制作中だという7枚目のアルバムも、今年中かしらと待ちわびています。


Lilith
2017/03/22 01:00
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返信
カタリベ
1968年生まれ
千代田区のUra
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