11月21日
J-POP界の開発屋、なぜ角松敏生はいつも早すぎるのか? vol.6
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 この日何の日? 
角松敏生のアルバム「T's BALLAD」がリリースされた日(RAMP IN 収録)
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photo:@0onos  

(Vol.5からのつづき)

これまで5回にわたり角松の「いつも時代より早すぎる」軌跡を辿って来たわけだが、サウンド面の先取り精神とは裏腹に、彼の歌う世界観はいつもコンサバで、時にアナクロニズムさえ感じさせる。それというのも、角松の創作スタイルが、自分の経験を切り出して話を紡ぐ「私小説」タイプだからだ。ゆえに私生活が行き詰まると、作品づくりもストップしてしまう。ファンには知られた話だが、1993〜98の5年もの間「活動凍結」をしていたのも、苦しみ抜いての離婚や、それにまつわる多情多恨な女性関係が原因である。どこまでも太宰治みたいな男、それが我らがKADOMATSU。

もうひとつ、角松の「俗っぽい」要素が、大のスッチー(死語だが、あえて80年代風に使わせてもらう)好きなところだ。客室乗務員や空港を描いた作品がいくつもあるし、ステージにスチュワーデス版リカちゃん人形を同伴していたこともあった。もちろん、彼の華麗なる女性遍歴が、機上の華たちによって彩られていたことは、云うだけ野暮ってもの。

さて、そんな角松を語るのに、忘れてはならない名曲がある。『RAMP IN』だ。秋にリリース予定のバラード集「T’s BALLAD」をレコーディングしていた1985年の8月12日、あの忌まわしい事故が起きる。日本航空123便墜落。角松はすぐに追加で曲を書き上げる。タイトルには【Dedicated to the stewardesses of JAL 123】とクレジットされた。ほかにも乗客に捧げた曲『Song for You』が録音された。そして、このアルバム全体がJAL123便への追悼というコンセプトで貫かれることになる。

『RAMP IN』は、スチュワーデスが愛する男性への想いを歌い上げる内容なのだけれど、天に召されてしまったJAL123便のクルーから、地上へ残された者へのメッセージと読みかえることができる。この「死者が何かを語る」という形式は、極めて東洋的な発想だ。ここには日大文理学部哲学科で仏教を研究していたという角松の生死観も、色濃く反映されているのであろう。

後年、1993年になってから、この曲のPVが撮影されるのだが、なぜか登場するスッチーは全日空そっくりの制服だ。帽子のマークだけが微妙に違うが、あとはシカゴギャングと揶揄された肩パッドの入った縦縞のスーツも、ピンクのシャツも同じ。でも、なぜANAなのか。たぶんJALにしてしまうと、余りに事故イメージが生々しすぎるからだと思う。(真相は、こんど角松サンに会ったら訊いてみたいと思う)

ちなみにこの曲は、フジテレビが河田町の旧社屋からお台場へ引っ越しする夜の「さよならフィラー」のBGMになったことでも有名だ。ミーハー路線一直線だったフジテレビだが、さすがにこの日のフィラーは寂しそうだった。『RAMP IN』どこまでも悲しい曲なのである。(この項、いったん終わり)

2016.06.03
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おすすめのボイス≫
1971年生まれ
でえぴい
Vol.1からすべて読みました。いいねを個人的に100個くらいつけたいきもちです。
当時、角松を聴きながら友人には「5年は早いから」と無理やり勧めては理解されず
もどかしかった記憶がよみがえりました。
2017/07/01 20:22
0
返信
カタリベ
1965年生まれ
@0onos
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