リ・リ・リリッスン・エイティーズ〜80年代を聴き返す〜 Vol.50 Boz Scaggs / Other Roads
ボズ・スキャッグス、22回目の来日公演
現在79歳のボズ・スキャッグスが2月に来日公演を行います。元気ですね。5年ぶりとのことですが、調べたら、1978年の初来日から数えて、なんと22回目です。相当に多い。ちなみにエリック・クラプトンは既に22回で、今年4月にまた来るのでそれが23回目。彼にはわずかに及びませんが、ボブ・ディランの11回、ビリー・ジョエルの12回と比べるとほぼ倍です。オリジナルアルバムの数(19枚)よりも多いのですが、特に80年代は、『ミドル・マン』(Middle Man / 80年)と『アザー・ロード』(Other Roads / 88年)の2作しか出してないのに、日本ツアーは4回もやっています。
それくらいボズは日本人に人気があったということなんですが、逆に10年でたった2作というアルバム数の少なさのほうが気になりますね。しかも『シルク・ディグリーズ』(Silk Degrees / 76年)、『ダウン・トゥー・ゼン・レフト』(Down Two Then Left / 77年)と快調に飛ばしてきて、『ミドル・マン』も全米8位のヒットで “三部作” と呼ばれ、「ジョジョ」などのシングルもヒットして、それまでのキャリアのピークに居たのに、そこから次のアルバム『アザー・ロード』まで8年もの期間があるのです。その間、83年と85年と、2回も日本くんだりまでライブをしに来ているんですから、音楽活動に支障があったわけでもなかろうに、いったいどうしたんでしょう?
『ミドル・マン』の後に出した、8年間のブランクに入る前の最後のシングル「ミス・サン」(Miss Sun / 80年)は、TOTOのデイヴィッド・ペイチの作品ですが、音が出た瞬間に、これぞボズの世界、“どストライク” のAORだと感じます。「オレはこれでいいんだ」と開き直って、そのまま堂々と進めばよかったのにね。