4月25日
アダルトな名曲を詰め込んだ宝箱CM、アメリカンブルー・パーラメント
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photo:Amazon  

80年代はAORが席巻した時代といっても過言ではないだろう。代表的なアーティストをあげろと言っても、簡単ではないぐらい多くの候補が上がるし、それまでキャリアのあるアーティストも後付けでそちらに区分けされることもあったように思う。

その時は新しいカテゴリーであったから、誰しも最初から自身がAORというものを志向して制作したはずもなく、恐らくは時代の要求に応じながら、自ら信じる所の作曲やアレンジを重ねた結果、そこへ向かっていったというのが実情ではないだろうか。

このジャンル、とかく空気に馴染むというか、ボーカリストが強く主張し過ぎないBGM向きなのも当時のカフェバーブームにマッチして方々で重宝されたように思う。

テレビCMの世界でも例外ではなかった。代表格は何と言ってもフィリップ・モリスのたばこ『パーラメント』のCMである。

ニューヨークはもちろん、シカゴ、マイアミ、サンフランシスコなど、アメリカの大都市の素晴らしい夜景を遊覧飛行で眺めるような映像に音楽が流れる。いずれも夜景にぴったりとはまったBGMで、それがAORの帝王、ボビー・コールドウェルの楽曲だったりする。

ナレーションは名優 長塚京三だ。たばこのような嗜好品のCMは爽快感を感じさせるものが多く、それ故に「健康を害する商品」としては批判されがちなのだが、当時はまだマス広告が許されたおおらかな時代だった。『アメリカンブルー、パーラメント』はシリーズ展開され、アメリカの各都市の夜景と数々の楽曲を我々の記憶に刻んでくれたのは間違いない。

また大ヒット曲のセルフカバーが意外と含まれているのが興味深い。

カーラ・ボノフ「オール・マイ・ライフ」はリンダ・ロンシュタット&アーロン・ネヴィルのデュエットによるヒット曲。おなじみボビー・コールドウェルの「ハート・オブ・マイン」はボズ・スキャッグスに、同じく「ステイ・ウィズ・ミー」は、ピーター・セテラに提供されたもので、それぞれがヒット曲であったために、CMで耳にした時、どちらがカバーか分からないほどだった。

その辺りは著作権とレーベルの問題というか、大人の事情もあったのかも知れないが、結果的にファンには嬉しい演出になったのではないだろうか。

また確かにボビーをこれだけフィーチャーしたおかげで、パーラメント=AORのような印象があるが、意外とフュージョンやクロスオーバーといったジャズ系のミュージシャンの楽曲も多く使われていることを忘れてはならない。

惜しくも先月亡くなったアル・ジャロウ「アフター・オール」は彼の代表的なバラードナンバー。同じく昨年亡くなったナタリー・コール「ミス・ユー・ライク・クレイジー」も大変印象的であった。この楽曲は70年代後半からしばらく低迷していた彼女の復活を象徴する大ヒット曲である。

そしてもう一曲、私が是非挙げたいのは、カール・アンダーソン「ピーシズ・オブ・ア・ハート」だ。これら “American Blue” を彩るビッグネームたちにあって、当時彼の名を知る人はそれほど居なかったのではないか。

しかし佳曲ぞろいの一連のシリーズの中で、一際切ないR&Bのバラードのような曲はきっと多くの視聴者をの心を掴んだことだろう。またこのCMの映像もワルツを舞う男女が描かれ、ドレスの裾が優雅に回る様がシンクロし、夜景の美しさだけでない、ドラマを感じさせる演出が施されている。

実はこのCMを見てCDを買い求めたという話をよく聞くのだが、まさに私もそのクチである。彼は単にCMに楽曲が採用されたというだけではなく、同時に素晴らしいPVを得たことで、日本で思わぬ成功を収めることが出来たというわけである。

その彼もアルやナタリーよりはるかに早く、2004年に白血病のために亡くなっている。存命ならきっと、もっと多くの曲を世に送り出せたことだろう。

AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)というのは、そもそもどこぞの代理店かレコード会社がいいだした日本独自のもので、海外でこのジャンルは「Adult Contemporary」としてもっと大きな括りで捉えられている。

そのため実際はジャズやR&Bなどとも近しく、明確な線引きはできないものである。私がカール・アンダーソンをジャズ系の人と捉えているのは、ただブルーノートでライブを観たからというだけに過ぎないのだ。

パーラメントのCMは、実は商業的に日本市場に設定された狭義のAORなどではなく、きっと誰しもが必ずお気に入りの1曲を見つけることが出来る、アダルト・コンテンポラリーの名曲を詰め込んだ宝箱のようなシリーズだったのである。

2017.04.15
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