9月1日

KAN「愛は勝つ」子供たちの間で替え歌も大流行したレコード大賞受賞曲!

20
0
 
 この日何の日? 
KANのシングル「愛は勝つ」がリリースされた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1990年のコラム 
ジッタリンジン「夏祭り」ホワイトベリーもカバーした時代を超える青春のアンセム

中村あゆみ「BROTHER」盟友・鎌田ジョージのギターと揺るぎなきロック魂!

追悼:伊藤耕 — 誰も話題になんてしないロックバンドの曲だけど

日本における「カノン進行」の源流を探る旅(その4)

伊藤銀次「テレジオ7」収録エピソード! KANが、永井真理子が、BUCK-TICKが…

ジョージ・マイケルから託された言葉「偏見を捨てよ、耳を澄ませ」

もっとみる≫




ヒット曲 “イントロ秒数徹底調査” 1991年のシングルTOP100篇

リマインダーで取り上げている1978年~1991年までの14年分を、1年ごとに年間シングルランキングTOP100のイントロ平均秒数を調査し、その結果を紹介していく連載企画。

1991年シングルTOP100のイントロ秒数は?


今回は、“1991年” を調査します。その年間ランキングTOP10のラインナップと調査結果がこちら。

1位 Oh!Yeah! / ラブ・ストーリーは突然に / 小田和正(0秒 / 39秒)
2位 SAY YES / CHAGE&ASKA(23秒)
3位 愛は勝つ / KAN(16秒)
4位 どんなときも。 / 槇原敬之(33秒)
5位 はじまりはいつも雨 / ASKA(13秒)
6位 あなたに会えてよかった / 小泉今日子(17秒)
7位 LADY NAVIGATION / B'z(20秒)
8位 しゃぼん玉 / 長渕剛(33秒)
9位 Eyes to me / DREAMS COME TRUE(1秒)
10位 ALONE / B'z(13秒)
※(カッコ)の数字はイントロの秒数

調査方法は、年間シングルランキングTOP100にランクインした曲のイントロ秒数を、0秒、1~2秒、3~10秒、11~20秒、21~30秒、31~40秒、40秒以上… の7つの長さに分けて集計していきます。1991年の結果をグラフにすると、こうなります!



平均秒数は22.9秒。前年の1990年の平均が22.3秒。前年より0.6秒増で、1978年から14年分を調査してきた中で、一番平均秒数が長い年でした。

イントロが長い曲をみると、40秒以上が下記の3曲。

16位 WON'T BE LONG /バブルガム・ブラザーズ(49秒)
58位 Silent Jealousy / X(85秒)
81位 RHYTHM RED BEAT BLACK / TMN(72秒)

1990年のイントロが40秒以上の曲にも、

42位 TIME TO COUNT DOWN / TMN(55秒)
67位 紅 / X(44秒)

… と、TMNとXがランクイン。1988年以上、年間平均秒数が20秒を越えているのは、この2バンドのブレイクと密接な関係があることがわかりました。イントロ秒数が長くなっている理由は確実に、この2バンドのソングライティングを手掛ける、小室哲哉とYOSHIKIの影響です。1992年以降、この2バンドはもちろん、両者は、他のアーティストへのプロデュースや楽曲提供も増えていくので、今後も平均イントロ秒数が伸びていく傾向にあるのではないかと推測できます。

KANのターニングポイントは、アルバム「野球選手が夢だった。」


今回、取り上げるのは年間シングルチャート3位の、KAN「愛は勝つ」。

小学生の頃からクラシックピアノを習い、中学生の頃は、ザ・ビートルズ、高校時代に、ビリー・ジョエルと出会い、オリジナル曲を制作し始めた福岡出身のKANは、法政大学に合格し上京。

その後、1984年のヤマハのコンテスト「East West」では決戦大会に出場し優秀賞、集英社ヤングジャンプ主催の「Sound Contest ’84」ではヤングジャンプ奨励賞を受賞と、洋楽に強い影響を受けたスタイリッシュなサウンドを作るミュージシャンとして賞レースで注目を集め、 1987年、シングル「テレビの中に」および、同タイトルのアルバムをリリースし、シンガーソングライターとしてメジャーデビューします。

しかし、セールスにはなかなか恵まれず、デビューから3年の月日が経ちます。“売れない” ということは、何かを変えなければいけない―― と感じたKANは、新しいアレンジャーとして小林信吾を招き、1990年にアルバム『野球選手が夢だった。』をリリース。

1曲目に収録のこの曲が、レコード会社内で評判を呼び、アルバム曲でしたが、大阪のラジオ局でヘビーローテーションに採用、バラエティ番組『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』のテーマ曲にも決定し、1990年9月1日、シングルとしてリリース。8週連続でシングルチャート1位を獲得し、201万枚の大ヒットを記録。第33回日本レコード大賞ポップス・ロック部門の大賞を受賞します。

シンプルでキャッチーなイントロと小学生にも伝わるシンプルな言葉


この曲がヒットした要因をKAN本人はーー

洋楽しか聴いてこなかった自分は、こんな曲が作りたいというメロディやリズムはあったけど、歌詞は、誰の影響も受けていないから、そのメロディやリズムに合う言葉を乗せていくという手法で作っていた。それが逆によかったのではないか。イントロからビリー・ジョエルの「アップタウン・ガール」を意識したアレンジのサウンドに、当時苦しい状況の恋愛に悩んで泣いていた先輩がかわいそう過ぎて、話していて出てきた言葉を歌詞にしたらいい感じで、漠然としたものになり解釈が広がったことも良かったと思う

ーー と分析しています。

私が思うこの曲の凄さは、イントロクイズだったら、0.1秒でタイトル確定! …的な力強いピアノからスタートするキャッチーさと、小学生にも伝わるシンプルな言葉を選んだ歌詞にあると思います。

替え歌でハートをキャッチ。日本レコード大賞を受賞


この曲がシングルチャートを賑わせていた時、テーマ曲に起用されたバラエティ番組『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』の中で山田邦子が、KANのモノマネをしながら「愛は勝つ」の替え歌「愛はチキンカツ」を披露しています。その歌詞は――

 心配ない 唐揚げ 君の お餅が 誰かに 豆腐 明日が きつねうどん
 どんなに こんにゃくで くじけ そうめん とん汁 事を けして や明太子
 カレーうどん カレーライス しば漬け 福神漬け
 愛する せツナサラダ 少し疲れ 天丼
 どんなに こんにゃくで くじけ そうめん とん汁 事さ
 必ず 最後に チキンカツ

フレーズの語尾を食べ物とひっかけたダジャレがメインの、今見ると本当にくだらない(笑)歌詞ですが、これが小学生のハートをがっちりキャッチ! 番組放送の次の日、学校の休み時間や下校中にみんな大熱唱していました。この現象は、「愛は勝つ」が若い層にまで届いていた証明だと思います。

しかし大人になって「愛はチキンカツ」の話をしても、少し上や、少し下の年代の方からは「知らない」と言われます。で、そして上の世代からは決まって言われる決めゼリフが、「「ブルー・シャトウ」みたいなことでしょ」

 森トンカツ 泉ニンニク かーコンニャク まれテンプラ~

その通り! 「ブルー・シャトウ」も日本レコード大賞を受賞。
今日のお昼、替え歌を口ずさみながらチキンカツ食べます。とん汁付きで。

連載「80年代ヒット曲 "イントロ秒数徹底調査" 198X年のシングルTOP100」

▶ KANのコラム一覧はこちら!



2022.08.09
20
  Songlink
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1979年生まれ
藤田太郎
コラムリスト≫
26
1
9
8
1
薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」映画のラストを飾った23秒のイントロ
カタリベ / 藤田 太郎
57
1
9
9
0
日本における「カノン進行」の源流を探る旅(その4)
カタリベ / スージー鈴木
51
1
9
9
7
KinKi Kids「硝子の少年」はジャニー喜多川、松本隆、山下達郎の挑戦だった
カタリベ / 藤田 太郎
25
1
9
8
1
寺尾聰「ルビーの指環」18秒の憂愁イントロにみるカッコいい大人とは?
カタリベ / 藤田 太郎
6
1
9
7
9
山口百恵「愛の嵐」ジェラシーの音を表現した美しく重厚な30秒のイントロ
カタリベ / 藤田 太郎
30
1
9
8
4
日本における「カノン進行」の源流を探る旅(その3)
カタリベ / スージー鈴木