先日、広島で音楽のプロモーターを副業としている知り合いのFBかツイッターから、フールズのファーストアルバム『Weed War』(1984年)の写真が流れてきた。
好きなアルバムだし、以前このサイトでもそのことは書いたから、やはり趣味が似てますねぇと書き込みでもしようかと思ってたのになぜかやめた。その直後にヴォーカルの伊藤耕さんの訃報が流れた。
2017年10月16日に服役中の北海道月形刑務所で亡くなったそうだ。思わず、FB上でシェアしようとしてなぜかわからないけれどやめた。
昨日、西荻のバーで時々一緒になる知り合いのFBから「Mr...... Freedom」という書き込みと、ギターをかきならす人の映像が流れてきた。ひたすら「Oh Baby〜Oh Baby〜」とどなっている。スマホでかざして撮影しただけの映像で、横向きで見難いし手持ちでぶれてるし、周りがガヤガヤしていて歌もギターもサビ以外よく聞こえない。そもそもそれが誰かも僕にはわからない。もちろんシェアしたってしょうがないし、仲間内でなければこんな映像は何の意味もない。僕はこれを流した人の「友達」ではあるが、映っている人は知らないから。
でも、何度も何度も繰り返しクリックしては眺め、そのひどい歌を聴きながら、良い歌だなと今更ながらに切なくなった。とても大切なものを失ったようなひどい喪失感に襲われた。
Oh Baby Oh Baby
お前はひとりぼっちじゃない
Oh Baby Oh Baby
お前をほっとけやしない
この広い世界のまん中で
やっとおまえにたまたま出くわしたのさ
そんなおまえを愛さずに
いったい何を他に Baby
愛せというのか
FBやツイッターの書き込みでは、誰がいつ何を書いたかなんてことも、数日後にはすっかり記憶から抜け落ちてしまう。伊藤耕さんの名も、 2014年に亡くなった川田良さんの名も、フールズの名さえも世の大方の人はまるで知らないし、これから知られるなんてこともおそらくはないだろう。
ヒット曲がなくテレビに出ず数枚しかアルバムを出していなかったロックバンドのことなんて、これからも大きなメディアに取り上げられる機会はないだろうし、誰も話題にせず、そのままひっそり消えてなくなるに違いない。僕のように、片鱗だけとはいえ彼らの偉大な音と詞に触れた人間にしたって、もうすぐこれらの名を忘れてゆくだろう。
でもきっといつか、「たまたまやっとこうして」この曲に「出くわ」す人がいる。そのとき僕は、たまたまこの曲を好きになる人と、きっと仲間になれると思う。
この広い世界の中で
おまえが出くわした全てが おまえなのさ
だからそいつをおまえの手で
しっかり…
歌詞引用:
OH.BABY / ザ・フールズ
2017.11.01
YouTube / budorisyoten
YouTube / AKKIE77CHAME
YouTube / tamatasa record
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