大人になったらスーツは当たり前のように着るものだと、父の姿を見て思っていたが、どうせならかっこよく着たい・・・と思わせのたのは、そりゃあもうブライアン・フェリーだ。ニューロマのバンドも肩幅の広いスーツを着用していて、それはそれでかっこいいと思ったものの、フェリーにはイキがったところがなく、なんというか、とても大人だった。
1985年、ブライアン・フェリー「ボーイズ・アンド・ガールズ」リリース。ロキシー・ミュージック解散後の動向が気になっていた自分は国内盤のリリース日に購入した記憶がある。んで、裏ジャケのフェリーの姿を見て、まず大人だ・・・と思った。シングル曲「スレイブ・トゥ・ラブ」「ドント・ストップ・ザ・ダンス」のPVもクールだった。決定打は、後者の曲が使用されたテレビCMでクネクネ踊るフェリー様。ノーネクタイのスーツ姿は前髪の垂れ具合も手伝い、大人っぽく見えたものだ。この頃のフェリーのたたずまいをダンディの定義にしている同世代のロックファンは結構多いと思う。
未成年の自分は、こういう大人になりたいと思ったものだが、気づけばあれから30年。前髪の生え際は後退しているし、ある意味やくざな仕事をしているそんな日常の中で、スーツを着る局面は年に数日程度。着慣れていないせいか、時にはネクタイの結び方さえド忘れして、鏡の前でアタフタすることも。歩んできた道に後悔はしていないものの、ダンディからほど遠い自分には、時々ガッカリしたりする。
ブライアン・フェリーと同年、ロバート・パーマーがスーツ・ロックに追い打ちをかけるようにアルバム「リップタイド」をヒットさせる。モデル美女を従え、ネクタイ姿で歌うパーマーをPVで見て、“大人になったら、これもやろう…” と思ったが、あいにくこの野望も、いまだ実現していない。
2016.06.17
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