11月1日

UKインディシーンに舞い降りた天使の歌声~コクトー・ツインズ

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photo:Discogs  

女性ヴォーカリストに対して「天使のような歌声」と形容されることってありますよね(ときに男性ヴォーカルにも。シガー・ロスとか)。私にとって「天使の歌声」はエリザベス・フレイザー、スコットランド出身コクトー・ツインズのヴォーカルです。

UKインディーに夢中だった高校時代、84年頃UKインディーチャートの首位を独走していた彼らをチェックするのは当然の流れでした。

そしてそのチャートに居座り続けたサードアルバム『トレジャー』を購入。しかしレコードから放たれたのは、さまざまなバンドが割拠していたUKインディーシーンのなかでも特に異彩を放つ、思いっきり個性的なサウンドでした。

まるで水の上に浮かんでゆっくりと流されていくような、たおやかなギターの音色が時に冷たく、時に暖かく響きます。

そしてエリザベスの天から舞い降りてきたような美しいファルセットヴォイス。もはや英語かどうかも解らない呪文のような歌とそのメロディーも神秘的かつ幻想的(わざと聞き取りにくいようにしていたそうです。当然のように歌詞カードは “アーティストの意向により” ありませんでした)。

初めて聴いた時はロックというジャンルでは語りきれない、何か別次元の音楽という感じがしました。

最初、この別感覚に戸惑って何度も何度もこの『トレジャー』を聴き返しました。そうすると聴けば聴くほど深みにはまっていくのです。BGMにしてもいいくらい気持ちのいい浮遊感が漂うのですが、曲ごとに様々な表情を見せるそのサウンドに気が付けば聴き入ってます。

エリザベスの歌声は大きく分けるとファルセットとそうでない時と表情がかなり変わるところも魅力の一部。

もう一人の主要メンバー、ロビン・ガスリーのつくりだすインストゥルメンタル部分もこの『トレジャー』の頃には既にオリジナリティが確立しており、唯一無二、一聴して彼のものだとわかるようになっています。

もはやジャンルレス、コクトー・ツインズワールドです。プリンスや宇多田ヒカルなどジャンルを問わず彼らのファンが多いのも何となく頷けます。

所属レーベル4ADの一貫したトータルデザインでもあるジャケットの素晴らしさ、女神の名前からとったという曲名なども含めてこの『トレジャー』が彼らの最高傑作だという声も多いのですが、私もその意見に一票です(しかし他の作品も傑作揃い!)。

バンドは97年に解散。98年にはマッシヴ・アタックの「ティアドロップ」のヴォーカルをエリザベスが担当、その後もピーター・ガブリエルの作品に参加したり映画音楽を手掛けたりしています。ロビンもソロ作やプロデュース業を続けています。

ちなみにグループ名の「コクトー・ツインズ」というのはシンプル・マインズの楽曲名から。「コクトーの双生児」とはまた素敵な名前ですよね。

2017.04.26
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カタリベ
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