ギターを弾きながら歌う女子。日本で数年前からちょっとしたブームにもなっている「ギタ女」ですよね。そんなギタ女、オッサン世代の私にとっては、この人を置いて他にはいません、ボニー・レイットです。
ボニー・レイットは歌もとてつもなく上手いんですが、なによりギターがメチャメチャ上手い。絶品のスライドをはさみながらのエレキも、アコースティックもとにかく上手い。シンガーソングライターとしての実力がどうしても前に立ってしまうのでなかなかギタリストとしてスポットライトが当たらないのが残念なくらいです。
70年代初頭から活動していてデビュー時から評価の高かったボニー・レイットですが、アルバムをリリースするごとに知名度は上がっていくものの、なかなかヒットに恵まれませんでした。私もその名前はロック界でよく聞くものの、彼女のレコードはまったく聴くことはありませんでした。
そんな彼女の転機はレーベルをキャピトルに移籍し心機一転、ドン・ウォズをプロデューサーに迎え制作した10枚目のアルバム『ニック・オブ・タイム』でした。シングルが大ヒットしたわけでもないのですがアルバムチャートは1位を獲得、翌年のグラミー賞でも最優秀アルバム賞を含む4部門受賞したのです。私もここで初めて聴くことに。
それまでのアルバムとはそれほど大きな変化はなかったものの、どこか洗練された感があるサウンドが魅力でした。私のお気に入りは「シング・コールド・ラブ」。
ジョン・ハイアットが後にリトル・ヴィレッジというグループを結成するきっかけになったメンバー(ライ・クーダー、ジム・ケルトナー、ニック・ロウ)で制作したアルバム『ブリング・ザ・ファミリー』に収録されていた楽曲のカヴァーです。オリジナルも勿論いい曲なんですが、ここではもう完全に彼女のモノにしてます。他の楽曲もブルージーなんだけどしっかりキャッチー。飽きのこない好アルバムです。
勢いに乗った彼女は次のアルバム『ラック・オブ・ザ・ドロー』で全米2位(ジョージ・マイケルやアデルがカヴァーした名曲「夕映えの恋人たち(I Can't Make You Love Me)」を収録)。続く「ロンギング・イン・ゼア・ハーツ」でも全米1位と快進撃を続けます。
この時点で彼女は45歳。遅咲きとはいえ、それまで培った実力がこういった連続ヒットを生んだのでしょう。
あと忘れてはならないのが移籍前のワーナー時代の作品。私も後追いでしたが宝の山です。エリック・カズの名曲群「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」「クライ・ライク・ア・レインストーム」「ブロウイング・アウェイ」などはリンダ・ロンシュタットと被りますが、名唱、名演が数多くあります。凄ワザのギタープレイもお聴き逃しなく。
2017.09.29
YouTube / BonnieRaittVEVO
YouTube / BonnieRaittVEVO
YouTube / BonnieRaittVEVO
Information