ヒットへの期待が高まった83年の「トワイライト・アヴェニュー」も、結局ヒットにはいたらないまま終わった。それでもスターダストレビューには、翌年にまたも大きなチャンスが訪れる。「トワイライト・アヴェニュー」同様、「赤い糸の伝説」というタイトルでライブ演奏されてきた「夢伝説」の発売だ(84年5月)。
ライブでこの歌を初めて聴いたとき、これまでのスタレビの世界が、新たなイメージを膨らませて大きく広がっていくような衝撃を受けた。シンセサウンドのドラマチックなイントロで始まるその歌に、ぼくと同じように胸を高鳴らせたお客さんもたくさんいたはずだ。
その「夢伝説」がカルピスのCMにも決まって、いよいよリリースとなったとき、事務所のマネージャーと「この曲はもう絶対ヒットしますよ!」なんて手を取りあって喜んでいた。なんてったって誰もが知ってるカルピス。そのコマーシャルソングとしてテレビから歌が流れてくるのだから。
そして、ヒットした(と言ってもいいと思う)。チャート100位近くの初登場にはなんとなく不安もよぎったが、そこから50位以内くらいまでは伸びていったんじゃなかっただろうか。リリース前に想像していた劇的なヒットとは違うが、明らかにバンドの未来が見える1曲になった。
82年のセカンドアルバム以降、アルバムレコーディングの話が進まずにいた彼らだが、急遽「夢伝説」を含むベスト盤『TO YOU〜夢伝説〜』(84年7月)のリリースが決定するという進展もあった(アルバム2枚リリースしているだけでベスト盤を出すということに、メンバーにはさまざま異論もあったようだが)。
ブレイクとは呼べない。でも、ビッグヒットではなくても、意味のあるヒットはした。しばらく凪のような状態にあったスターダストレビューの周囲がすこしざわついてきた。楽曲が話題となって、『ザ・トップテン』(日本テレビ系)にも出たほどだ!
こうしてようやく彼らの作品と時代がリンクするようになる。今でもスタレビの代表曲に「夢伝説」をあげる人が多いのは、彼らの歴史を語る上で、大きな意味を持つ1曲とも言えるからだろう。
賛否分かれたベスト盤『TO YOU〜夢伝説〜』も、正確な順位はわからないが、かなりチャート上位に食い込んだはずだし、「夢伝説」のヒット以降、スターダストレビューの新曲やニューアルバムは、リリースのたびにそこそこのランキングには登場するようになるのだ。
※2016年9月9日に掲載された記事をアップデート
2018.05.23
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