5月21日

レベッカと一触即発? バンドマン同士の喧嘩が絶えなかった80年代

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photo:SonyMusic  

80年代初頭、私にはアジトがあった。

平たく言えば、溜まり場になっていた部屋が渋谷の閑静な高級住宅地にあった。基本、バンドマン3人が共同生活。全員プロ志望。やんごと無き家柄のバンドマン男子が3年間限定、親名義で借りた2LDK 風呂付きの古いマンションだった。ちょっと帰れなくなるといつも誰かしらいて、仮眠したりビデオ観たり… 何かと便利だった。

泊めてくれたお返しに何か簡単な料理を3人分私が作るというのが “慣わし” となったが、料理を作っている間にバンド仲間が入れかわり立ちかわりにやってくるものだから、あっという間に料理は消える…。

この日も、もう一回お米を炊いて何か作らなきゃという流れ。そんな中、アジトに集まったバンドマン5人が近所の “気になる奴ら” の話題で盛り上がっている。要約すると、こういうことだ。


最寄り駅からすぐの音楽スタジオ辺りで遭遇。

小柄な女の子1人を含む4~5人の男たち。楽器を所有。多分バンドマン。

男性陣は、メタル風、テクノカット、角刈りがいて派手。

遭遇すると必ず目が合う。全員がすれ違いざまに見てくる。


台所で料理の準備をしながらこれを聞き、「メタルにテクノカットに角刈りで、小柄な女の子ってどんな音なんだろう?」と私が言うと、皆よくわからないと言う。とりあえず追加の食材を買いに行く私にバンドのドラム担当がタバコとビールが買いたいと付いて来た。

駅前の小さなスーパーまでかなり歩き買い物をすると、日も暮れかけた帰り道に…“奴ら” はいた。

「いたー! ヤバイ!」

ドラム担当が小声で言うので、その方向を見る。確かに目の前の細い道には「派手な軍団」がいた。楽器類で通せんぼするかの様に立っている。小柄女子、メタル、テクノ、角刈りとまでいかない短髪男…。

さてどうするか。

ドラム担当は「ヤバイよ。人数で俺ら2人じゃ勝てない」と始めから弱気。私は強気で攻めたいが、手に持つスーパーのロゴ入り袋に大根やら人参がのぞいてる時点で、かなりのハンデ感。とりあえずゆっくり進み、間を詰め、遂に奴らと至近距離で睨み合い。

今と違い、昔は何処の道でも大抵ここからが良くも悪くも喧嘩の始まり。スーパー袋をドラム担当に渡して私から口火を切った。

「こんばんは。バンドやってるんですか?」

奴らは全員無言で頷く。気まずい沈黙。ここで連れのドラム担当が「よくこの辺で見かけるけど、どんな感じの音?」とさらにツッ込んだ。すると小柄な女の子が

「あのね、マドンナみたいな音!」

その瞬間に張り詰めた緊張が一気に解けた。全く敵対しない。少しずつ打ち解けて話すと、向こうもこの辺りにバンドマンの溜まり場があるのでは? とこちらを気にしていたらしい。別れ際にバンド名は? と聞くと

「レベッカ」
「え? ヒッチコックの?」
「違う。小説から」

彼らは駅の方へと楽器を抱えて歩き出し、私達は反対方向へスーパー袋一杯に詰め込んだ野菜を抱えて歩き出した。

その日の食卓の話題は謎のバンドがレベッカと判明した事で持ち切り。レベッカもアジトに呼んでジャムろうとか迄言い出す位、はしゃいでいた。それからは道で会えば会釈を交わす様になり、程無くして彼らはメジャーデビューした。

80年代邦楽ロックの代表格。強いては女性ボーカルバンドブームを牽引していくレベッカ。私たちはアジトのテレビでその姿を目の当たりにすることになった。気が付けば、あの細い道ですれ違う事も無くなっていた。

2019.03.06
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