海に行こう! 松岡直也のドライブミュージック「夏の旅」
皆様におかれましては、様々な行動制限が課されていることかと存じますがいかがお過ごしでしょうか。今年の夏は例年にも増して酷暑の声も高く、蝉の元気な鳴き声が否が応にも夏の気分を盛り上げてくれてしまいます。今回はそんな季節、私の脳内を駆け巡るザ・ドライブチューンである松岡直也さんの『夏の旅』を紹介させていただきたいと思います。
まずはアルバム『夏の旅』をご用意いただき、A面の3曲目、アルバムのタイトル曲「夏の旅」に針をおとしたいと思います。するとどうでしょう。重たいドラムのビートに合わせて斉藤英夫と今泉洋がギターを奏で始めます。そこで何かを予感したその刹那に高橋ゲタ夫のベースがドライブをかけ、そのままピアノ、キーボードが重層的に重なり合っていく中でいつしかテンポもアップビートに変わり、まるで一般道から高速道路へ入っていくような疾走感を与えてくれるのです。
音に身を任せていくその間に、気分はもう知らない街へとひた走っていくのであります。その行く先は静かな山なのでしょうか。ここはやはり、ミスター・ドライブミュージックである松岡先生に敬意を表して海に行こうではありませんか。車をパーキングに止めたら、さっそく綺麗な色のカクテルを… いやいや、ここはやはりビールでグイッ! といってみたいですね。そこで喉をうるおし、高まったテンションを沈めてから心に響くカクテルに移りたいものです。
8ビートながら熱いパッション、まさにラテンミュージックの系譜!
ご存じの方も多いかとは思いますが、松岡直也は中森明菜に「ミ・アモーレ」を楽曲提供するなど、ラテンの巨匠であることの方が知られていると思います。この曲はシンプルな8ビートの曲ではありますが、その熱いパッションやドライブ感はラテンミュージックの系譜を継ぐものであります。
私とこの曲との出会いは1984年の7月に遡ります。よみうりランドのEASTという野外ステージで繰り広げられたライブ会場に私はいたのです。そこで奏でられたこの曲に私は魅了されたのですが、その時は残念ながら Shazam もネットも無く、そのライブがラジオで放送されるようなこともありませんでした。なかなかレコードやCDの音源に巡りあうこともなく、ライブの音だけが記憶の片隅を支配し続けているという時間を長いこと過ごしていましたが、脳内再生を繰り返していたおかげで、このアルバム『夏の旅』に会った時の感慨もひとしおでございました。
アルバムには名曲がギッシリ、まさに夏のヘビーローテーション!
その後は、夏になるとヘビーローテーションされるアルバムのひとつとなりました。昨今はサブスクリプションという便利なものもございまして、そちらでもこのアルバムと出会うことができます。皆さまも是非このアルバム、夏が終わる前にご一聴いただきたいと思うのであります。
冒頭にも申し上げましたが、この夏は遠くに行くこともままならず、気分が今ひとつ夏に向かえない… と御嘆きの方もいらっしゃるかと存じますが、そんな時こそ音楽とお酒の力を存分に借りてドップリと夏気分に浸ろうではありませんか。
ところでこのアルバム、この曲のほかにも夏を彩る名曲の数々が収められております。是非隅から隅までお楽しみいただければと思います。タイトルも、「日傘の貴婦人」からはじまって「Uターン」で終わるなんてステキでしょ? それではワタクシはこの辺でグイッと一杯いかせていただきます。もちろんBGMは「夏の旅」で、ね。
2020.08.21