ジャンルを超えた「見つめていたい」メヌードからポリスに架けられた橋

皆さんは「メヌード」というグループをご存じですか？

メヌード、それは1983年から85年にかけて、中南米諸国を夢中にさせたプエルトリコの５人組アイドルグループです。あの「アーチーチ アーチ」の原曲を歌っているリッキー・マーティンも昔所属していたんですよ。恐らく、どこよりも先駆けて “卒業” というシステムを取り入れ、メンバーを交替させていたグループでした。

私は当時10代前半、メヌードのチャーリーが大好きでした。妹と私は毎日彼らの音楽を聴き、彼らがテレビに出てくるたびにくぎ付けになっていました。ブラジル全国が大フィーバーです。いとこ、友だち、、周りにメヌードを知らない人はいませんでした。だから、テレビも視聴率を上げようと、彼らの映像を毎日流していました。

ある日、彼らがブラジルに来るという噂を聞きつけて、彼らのライブに行きたい！と母にお願いをしました。「そんなところに行ったら押しつぶされてしまう！」と、すぐ却下されましたけど。しばらくすると、そのコンサートの模様がテレビで放映されると聞き、せめて録画だけでもと、妹と二人で「ビデオデッキを買って！」とおねだりしました。幸運にも、ちょうど父が日本に出張に行っていたこともあり、ソニー製のベータビデオデッキを買ってきてくれたのです。

コンサートの放送が夜遅くだったので、妹と私は母に録画を託し、その日は寝ました。朝起きるとすぐにビデオを観て、二人で興奮をしていたのを思い出します。知っている曲を口ずさみ、朝食そっちのけで観ていると、急に知らない曲が流れ始めたのです。聴くと、本当にいい曲で、彼らがこれから出す “新曲” だと思い楽しみにしていました。

しかし、しばらく経っても、新曲の情報はなく、妹が好きだったロビーもチャーリーもグループを卒業して、メヌードに対する情熱が少しずつ冷めてきたころ、ラジオからあの曲が流れてきたのです。「ああっ！ これ!!!」と胸を躍らせてDJの曲紹介に耳を傾けると「ポリスの Every Breath You Take（見つめていたい）をお送りしました」との声が…。

メヌードの新曲だと思っていた曲がカバーだとわかり、ポリスのことがもっと知りたくなるのですが、残念なことに彼らは間もなく活動を休止してしまいます。それでも、スティングのソロ活動やアマゾンの保護活動をしている姿は何かと話題になっていましたが。

私はこの辺りからアイドルに興味を持つことはなくなり、ポップスやロックを聴くようになっていくのですが、こうして思い返すと、メヌードは私にとって、音楽のジャンルの架け橋になってくれたのかもしれませんね。

2016.12.28