9月15日

80年代洋楽の潮流、ジェリービーンといえば 12インチのリミックス!

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ジェリービーンのシングル「ザ・メキシカン」が、ビルボード・ダンス・クラブ・ソングチャートで1位を記録した日
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カナダで人気を博したイギリスのバンド “ベーブ・ルース”


80年代、僕が中学~高校生の頃、ディスコといえば “流行の曲がかかって踊るところ” というイメージがありました。そんな大人の遊びなどするはずもできるはずもなく、それに元来流行に疎い僕は、夜な夜なDJなる人々がかける音楽にはとんと通じていませんでした。

ところで、このコロナ禍でも職業柄自粛生活も実現せず、落ち着いて音楽を聴く余裕を持てるでもなく、鬱々と過ごしていた或る日のこと、どこでだったか70年代にカナダで人気を博したというイギリスのバンド、ベーブ・ルースの「ザ・メキシカン」に、ガァーッ! と心を鷲掴みにされてしまいました。

最大のヒットは「ザ・メキシカン」夕陽のガンマンのテーマがモチーフ


まさに奇遇… あるいは奇妙な偶然でしょうか、ファーストアルバムを買おうか迷っていたその2、3日の間に、福山にある知り合いの中古レコード屋さんが『ファースト・ベース』(1973年発売)の写真をアップロードしたのです。「これは運命の出会いだ!」と即決し、翌々日にはレコードに針を落とすことができました。有難や、ネット生活。

「ザ・メキシカン」は彼らの最大のヒットだったそうで、先日亡くなったばかりのエンニオ・モリコーネが作曲した、映画『夕陽のガンマン』のテーマ曲を下敷きにした佳作です。アルバム『ファースト・ベース』のジャケットのデザインはイエスやエイジアで知られ、本サイトでもおなじみのロジャー・ディーン。かなりキッチュでキモカワ系。ウケますが、謎な感じです。蛇足ながらセカンドアルバムの担当はヒプノシス。

肝心の音は、少し前に集中して聞いていたキング・クリムゾンに続く世代のハードロック+プログレのメロディアスな佳作揃い。音からジャケから色々ズルズル出てきて楽しめました。

ディスコシーンで大ヒット、ジェリービーンのリミックス!


さらに、なんとなしにネットで情報をザッピング(…っていうんですかね)。すると、1984年にジェリービーンという人が、わざわざ本家本元のボーカルであるジェニー・ハーンを起用して、「ザ・メキシカン」のリミックス・ヴァージョンを作り、ディスコ・シーンで大ヒットしたそうです。ほぅほう、なるほど。

それで、ジェリービーンさんとはどんな人なのかと見ていたら、80年代には超のつくほど売れっ子のDJ兼リミキサーでした。知らないと恥ずかしいくらいの “超” っぷり。本サイト Re:minder で検索をかけたらマドンナの「マテリアル・ガール」(1984年)とダリル・ホール&ジョン・オーツの「セイ・イット・イズント・ソー」(1983年)のロング・ヴァージョンで名が出てきます。ほうほぅ。

ちょうど洋楽にハマり始めた頃のおなじみの曲ばかりなので、どれどれと調べ始めたら、このジェリービーンこと、ジョン “ジェリービーン” ベニテスさん、まさに時代の寵児だったんですね。ものすごいラインナップが出てきました。ウィキペディアの日本語版にはこの人物の記載がありませんが、英語版(https://en.wikipedia.org/wiki/John_Benitez)には彼が手がけた数々のリミックスが網羅されています。是非ご一瞥を。

ジェリービーンといえば12インチ、12インチといえばジェリービーン


代表的なところだと、マドンナのセカンドシングル「バーニング・アップ」(1983年)のリミックスを担当。ついでに恋人も担当。その他にも…

■ ライク・ア・ヴァージン / マドンナ(1984年)
■ マテリアル・ガール / マドンナ(1984年)
■ ブルー・ジーン / デヴィッド・ボウイ(1984年)
■ セイ・セイ・セイ / ポール・マッカートニー&マイケル・ジャクソン(1983年)
■ アイズ(Eyes Without A Face) / ビリー・アイドル(1984年)
■ パワー・オブ・ラヴ / ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース(1985年)
■ セット・ゼム・フリー(If You Love Somebody Set Them Free) / スティング(1985年)
■ ヒーロー(Holding Out for a Hero) / ボニー・タイラー(1986年)

…と、出るわ出るわ、聞き覚えがあるどころか、当時のヒットチャートそのもので、その全てのリミックス… つまり12インチヴァージョンはジェリービーンさんが手がけています。これは驚愕の事実!

オリジナル・シングルの別ヴァージョンとしての12インチを商業主義の産物のように思い込んでいましたし、そもそも僕はディスコとかダンスとかブレイク・ビーツとかハウスとかにも関心ないし。リミックスといったってどうせ二番煎じで、売れた曲いじって踊りやすく長くして、それでファン心理につけ込んで12インチで売るんでしょ!みたいな。それでリミックスや、流行りのそれをかけるDJはだいぶ縁遠い存在でした。ほらっ、僕、健全だったし。

リミックス、これぞ80年代洋楽の楽しみ方!


それなのに。80年代の3大リミキサーのひとり、ジェリービーンさん(他2人はアーサー・ベイカーとシェップ・ペティボーンだそうです)を通してみると、80年代洋楽は創作 / ヒットチャート / MVばかりでなく、ミックス / リミックス / 独自のチャートという、これまた別の流れもあるんですね。これまでの素朴な視聴経験とはぜんぜん違う、かつての大人の世界。そんなかつての大人の年齢を遥かにすぎた今さらながらに、少し興奮してます。

2020.08.30
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