最近、第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンのアーティストが妙に気になり、レコードを取り出して聴いている。クールな PV を引っさげ、イギリスからアメリカに押し寄せ、ヒットチャートを賑わせたあの彼らだ。
デュラン・デュラン、カルチャー・クラブ、カジャグーグーの御三家に、ソロになったリマール、複数のシンセサイザーを1人で操るハワード・ジョーンズ、「ビー・ニア・ミー」の ABC やスパンダー・バレエとか。ティアーズ・フォー・フィアーズもワム! もユーリズミックスもシンプル・マインズもいた。見た目麗しく(PV映え)、シンセを駆使して(80年代の産物)、ポップで覚え易い。アメリカのマンネリ骨太ロック市場に、イギリス勢が颯爽と新風を吹き込む軽快なイメージだ。
そんな音楽に、商業主義とか醜悪なポップとかの批判があったのは後に知る。中学生だったし。リップクリームも「Kill Ugly Pop!!」を歌っていたのね。
この流れの中で一際注目されないのが OMD ことオーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク。1985年のアルバム『クラッシュ』は売れたのに。
うちの棚には前作にあたる『ジャンク・カルチャー』(1984年)もある。初回限定のシングルつき LP。本国イギリスでは『ジャンク・カルチャー』から「テスラ・ガールズ」、「ロコモーション」、それ以前には「エノラ・ゲイの悲劇(Enola Gay)」(1980年)のヒットがあったが、僕の OMD は、はるばる海を越えてアメリカで流れた「シークレット」、「ソー・イン・ラヴ」(共に1985年)、そして翌年の「イフ・ユー・リーヴ」。
シンセサイザーを多用した、いわゆるエレクトロポップス。ニューロマとかにも括られるのかしら… メロディーラインが印象的で耳に残るけれど、きっとグループ名を覚えている人はそうはいないのでは? 80年代にも聴いていたはずなのに。
でも、『CNN デイウォッチ』で使われたメロディーと言われれば思い出すはず。スパンダー・バレエの「コミュニケイション」もその類いかな(シュワェップスの CM)。
彼らのお手本、クラフトワーク風な楽曲。歌詞に電気椅子が出てくる「テスラ・ガールズ」や、原爆を運んだエノラ・ゲイ、建築と道徳、ジャンクな文化といった大真面目なアルバム名などなど。そんな実験性やら、社会性やらが,大挙してアメリカに進出したことよりも気になるのは、もうおじさんだからか、それとも OMD と向き合い始めたからか。
2018.11.26
YouTube / Orchestral Manoeuvres in the Dark
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