夏に観た映画『シング・ストリート 未来へのうた』の余韻でしばらくデュラン・デュランのPV漬けになっていたとき、ふとカジャグーグーを思い出した。
カジャグーグーといえばデュラン・デュランの弟分としてデビューしたブリティッシュ・ポップバンド。ニック・ローズ(デュラン・デュランのKey.)とコリン・サーストン(デュラン・デュランのプロデューサー)がプロデュースを手掛け、鳴り物入りでデビューしたグループだった。
当時高校生だった私はカジャグーグーの1stシングル「君はTOO SHY」を聴いて、ニューウェーブ的な陰のあるポップ感とリマールのジェントリーな歌声に萌えた。もちろん “デュラン・デュランの弟分” に恥じない彼らのルックスが前提にあり…。
とりわけキュートだったのがボーカルのリマールとベースのニック・ベッグス。やんちゃそうなリマールはトップをツンツンに立ててサイドを黒く染め分けたヘアスタイル、美男子のニックはふわっふわの綿帽子ヘアー、服装は他のメンバーを含め至ってカジュアルだった。マッチョ感ゼロでキュートな彼らをティーンの女のコたちが放っておくはずがなく、当時の音楽雑誌によるとイギリスでは追っかけがすごいことになっていたらしい。
とにかく「君はTOO SHY」がよかったので、日本では同名タイトルとなった1stアルバム『君はTOO SHY(White Feathers)』を迷わず買ったが、他の曲もさらによくて。今聴き返してみても、テクノポップ+ニューウェーブなメロディセンスもいいしテクもばっちり、ニックのブリッブリのチョッパーベースがピリッとスパイスになっている。当時も「このベース、なんだかすごい」と思ったっけ。
「君はTOO SHY」はヨーロッパやアメリカでもチャートインして世界的に大ヒット。この波に乗ってビッグなバンドに… と思いきや、1stアルバム発売からわずか3か月後にギャラのトラブルでリマールが脱退。カジャグーグーはニックがボーカルをとり、カジャに改名した後1985年に解散した。ちなみにリマールが映画『ネバーエンディング・ストーリー』の主題歌を大ヒットさせたのは、脱退した翌1984年になる。
2016年。カジャグーグーのその後が気になった私は、リマールとニックが別々に来日していたことを秋に知った。リマールは4月にビルボードライブ東京でライブ。一方のニックは5月に開催されたプログレッシヴ・ロックフェスなどに出演し、元ジェネシスのスティーヴ・ハケットをサポートしていた。ニックがプログレ界で名の知れた存在になっていたのを初めて知った私は、長い髪のワイルドな姿に驚いた!
と、同時にやっぱり才能あったんだなぁ… としみじみ。ちなみにニックは、自身が率いるプログレッシヴ・メタルバンド「ザ・ミュート・ゴッズ」でも活動している。恐る恐るPVを観てみたら声は相変わらずハイトーンだし、ポップな曲もあってホッとしたよ。
※2016年11月27日に掲載された記事をアップデート
2018.05.21
YouTube / runaroundsoup
YouTube / Jakub Janotka
YouTube / InsideOutMusicTV
Information