5月28日

グレン・フライの歌声にはカリフォルニアの青い空がよく似合う

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photo:Warner Music Japan  

デヴィッド・ボウイの死からわずか8日後、グレン・フライの訃報が届いたときは本当に驚いた。2016年1月18日、死因はリウマチ性関節炎と肺炎による合併症。67歳だった。

僕がグレンの歌声を初めて聴いたのは、映画『ビバリーヒルズ・コップ』のサントラに収録された「ヒート・イズ・オン」だった。サックスが激しくブロウするソウルフルなロックチューンで、この曲に限らず、ソロになってからのグレン・フライにはソウルや R&B の影響が色濃く感じられた。イーグルス時代とは異なる音楽性を指向したというのもあるだろうが、元々はモータウンのお膝元であるミシガン州デトロイトの出身。ソウルミュージックが体に沁み着いているのは想像に難くない。

1982年5月にリリースされたファーストアルバム『ノー・ファン・アラウド』は、ウエストコーストらしい陽気で屈託のない空気と、スウィートなソウルミュージックが融合した佳作だった。続く『オールナイター』や『ソウル・サーチン』でサウンドはシックになっていったが、その根底にはいつもソウルが流れていた。

80年代にグレンはいくつかのシングルヒットも飛ばしている。「恋人(The One You Love)」、「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」などは、「ヒート・イズ・オン」同様、サックスがフィーチャーされたソウルや R&B 感覚溢れるナンバーだった。僕のお気に入りは「スマグラーズ・ブルース」で、こちらは黒っぽいグルーヴがかっこいいロックチューン。ミュージックビデオでの達者な演技も印象的だった。

映画やテレビドラマ絡みのヒットが多かったせいか、ソロアーティストとしての輪郭がぼやけてしまった感はあるが、イーグルス解散後のグレンのキャリアは充実したものだったと言えるだろう。

しかし、すべてが順調だったわけではない。アルバムのセールスはイーグルス時代とは比べ物にならなかったし、ライヴも地域によってはチケットが売れず、ツアー中に会場をアリーナから小さなホールに変更されたこともあったという。それでも、グレンはソロ活動に手応えを感じていたし、90年代に入ってイーグルス再結成の話をもちかけられた時も、なかなか首を縦に振ろうとはしなかった。

1986年8月には、クリストファー・クロスとのダブルヘッダーで来日もしている。その模様は後日テレビで放映され、僕も観ることができた。夕暮れ前の空に「サムバディ(I Found Somebody)」の心地良いイントロが流れてきた時、カリフォルニアの爽やかな風が、僕のいる部屋にも吹いたような気がしたのを覚えている。それでいて歌と演奏は隙のない非常にプロフェッショナルなもので、グレン・フライのソロアーティストとしての魅力がダイレクトに伝わってくる内容だった。

結局、イーグルスの再結成でグレンのソロキャリアは中断することになる。もしあのまま活動を続けていれば、ウエストコーストロックとソウルを融合したグレンらしい新曲をもっと聴けたかもしれない。そう思うと、ちょっぴり残念な気もするのだ。

訃報が届いた日からしばらくの間、僕は『ノー・ファン・アラウド』をターンテーブルにのせたままにしておいた――。

そして、繰り返し聴いては、窓の外に広がる空を眺めた。陽気で屈託のないウエストコーストの空気とスウィートなソウルミュージック。グレン・フライの歌声にはカリフォルニアの青い空がよく似合う。

2019.01.18
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  YouTube / GlennFreyVEVO
 

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カタリベ
1970年生まれ
宮井章裕
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