80年代にグレンはいくつかのシングルヒットも飛ばしている。「恋人(The One You Love)」、「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」などは、「ヒート・イズ・オン」同様、サックスがフィーチャーされたソウルや R&B 感覚溢れるナンバーだった。僕のお気に入りは「スマグラーズ・ブルース」で、こちらは黒っぽいグルーヴがかっこいいロックチューン。ミュージックビデオでの達者な演技も印象的だった。
1986年8月には、クリストファー・クロスとのダブルヘッダーで来日もしている。その模様は後日テレビで放映され、僕も観ることができた。夕暮れ前の空に「サムバディ(I Found Somebody)」の心地良いイントロが流れてきた時、カリフォルニアの爽やかな風が、僕のいる部屋にも吹いたような気がしたのを覚えている。それでいて歌と演奏は隙のない非常にプロフェッショナルなもので、グレン・フライのソロアーティストとしての魅力がダイレクトに伝わってくる内容だった。