2023年 5月3日

人生のサウンドトラック《ザ・ストリート・スライダーズ》の魅力とは何なのか

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ザ・ストリート・スライダーズのライブアルバム「天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987 40th Anniversary Edition」発売日
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デビューから40年。ストリート・スライダーズ、まさかの再集結


そうか、もう40年か…… とにかく、40年も生きていると、驚くほどいいことも、Too Badなことも起こる。いいこと、それはストリート・スライダーズのまさかの再集結。2000年10月29日、日本武道館でのラストライブでバンド活動にピリオドを打ったスライダーズが、2023年5月3日に同じステージに立つ。解散から23年、そして彼らのデビューから40年だ。

前にもリマインダーで書いたような気もするが、まあ、「酔いどれおいらの愚かな口ぐせ」と思って聞いてください。40年前の1983年、当時高校生だったマナブにとって、最初のスライダーズ体験はとにかく強烈だった。高校2年の夏休み、田舎の秋田から上京したマナブは、ひとりでおっかなびっくり、浅草の名画座に足を運ぶ。目当てはダリオ・アルジェントの『シャドー』だったが、むしろ同時上映の『BLOW THE NIGHT! 夜をぶっ飛ばせ』に、実際にぶっ飛ばされた。不良少年たちの暴走を描いたこの映画は、スライダーズはライブシーンで幕を開けるのだが、そこで鳴らされる「マスターベイション」の衝撃といったら! 

何よりボーカル、ハリーの剃刀のような顔つきと声、そしてズケズケと入り込んでくる挑発的な歌詞。ルーズな空気に引きずられ、振り回されるような感覚。こんなバンド、今まで見たことも聴いたこともない。そもそもこちらは、ヤンキーなんて単語も知らない田舎者だ。とにかく、ヤバいシェイクに飛び乗ってしまった。



1987年に行われたスライダーズ日本武道館公演


1986年、マナブは上京して独り暮らしを始める。東京に行けば、スライダーズのライブも見られるだろうと思っていたが、チケットは簡単にはとれない。この頃の日本のバンドで、チケットの入手が難しいバンドというと、RCサクセションくらいだった。

裏を返せば、それだけライブバンドとしての評価が確立されていたということ。この年の夏に帰省した際、幸い秋田で野外ロックフェスが開催され、そこでスライダーズのステージを初めて見たが、夕暮れに響く「Angel Duster」――「時はいつだって、Ah, wait for no one」というフレーズが今も脳に刷り込まれている。

翌1987年1月、それまでホールクラスでライブを行なってきたスライダーズは日本武道館のステージに立つ。ここまでデカい会場ならチケットも取れるだろう。実際取れたのだが、2階のかなり後の方の席だった。が、そんなこと、どうでもいいのだ。“イッてますか~?” というハリーのMCは、そこにもしっかり届いたぜ。 

そういえば、このときのライブ盤『天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987』は、今年21曲収録に拡張され、再発される。「道化者のゆううつ」や「蜃気楼」「のら犬にさえなれない」も入っているし、しかもブルーレイの映像もついてくるとなれば、多少値は張るが買うしかないだろう。

2000年のラストライブ以降も生き続けたスライダーズナンバー


スライダーズのレコードセールスのピークは、おそらくこの頃だろう。人気という点では、この後安定期に入る。80年代のストレートでルーズなロックンロール路線は、緩やかにグルーヴを増していき、90年代は8ビートよりも16ビートの曲が増えていく。

それでもスライダーズはスライダーズだ。強靭なリズム隊と、からみつく2つのギター、そしてハリーの唸るような歌声。それだけで、誰にも真似のできないサウンドができてしまう。

2000年のラストライブ。スライダーズはいつものようにブルースを引きずって、淡々とプレイしていた。今後もライブを続けるのではないかと思えるほど、気張ったところのない演奏。「のら犬にさえなれない」をラストナンバーに持ってきたことには少々感傷的にもなったけれど、バンドが続こうが続くまいが、今後も「のら犬にさえなれない」人生は続く。スライダーズはここで消滅したが、彼らのナンバーは生き続けた。

人生のサウンドトラックのように鳴り続けるストリート・スライダーズ


最近でも日本のトマホーク購入のニュースを見たときには「しけたミサイル抱えて 火事場歩きはやめとけ」という「マスターベーション」の歌詞が脳裏をよぎった。SNSで誰かが猛烈に叩かれるのを目にすると、「手に入れたぬくもりさえも いつも何かに見張られてる 警告があふれてる街で 自由をはなしはしないさ」(Boys Jump The Midnight)という歌詞がリアルに響く。スライダーズの歌は初老に突入した今も、マナブの人生のサウンドトラックのように鳴り続ける。




なので、スライダーズのデビューから40年が経つものの、懐かしいとか、そういう同窓会的な感覚はない。当時からスライダーズのファンは、群れるのが苦手な人が多かった…… ということもあるのだろう。とにかく、40年も生きていると、驚くほどいいことも、Too Badなことも起こる。

Too Badなことって何かって? チケットが瞬殺で売り切れ、再集結武道館公演のチケットが取れなかったことだよ!!

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2023.05.04
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カタリベ
1966年生まれ
ソウママナブ
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