6月9日

世界一過小評価される弟分、ロン・ウッドがストーンズにもたらしたもの

59
1
 
 この日何の日? 
ローリング・ストーンズのアルバム「女たち(Some Girls)」がリリースされた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1978年のコラム 
闇に吠える街、スプリングスティーンから聴こえてくるパンク・スピリッツ

平成女子が選ぶ “夏の終わりに聴きたいアイドルソング” に感じる大人びた色気

6月16日は萩田光雄の誕生日 − 大場久美子の作品にみるそのぶっ飛びさ加減

ゲームミュージックの時代【1】アーケードゲームの普及と黎明期のピコピコサウンド

プロモーションは歌舞伎町!ディスコ巡りで「今夜はブギ・ウギ・ウギ」

バリー・マニロウ「コパカバーナ」と 西城秀樹「傷だらけのローラ」をめぐる冒険!

もっとみる≫



photo:UNIVERSAL MUSIC  

ローリング・ストーンズ形勢逆転の記録、1978年のアルバム「女たち」


ローリング・ストーンズ、1978年のアルバム『女たち(Some Girls)』は、ロン・ウッド(以下、ロニー)が加入して以降いちばん評判がいいアルバムと思われる。パンクにディスコと、直線的なビートが若者社会に横溢しだした劣勢期に、軸足ぶれぬままそれらを丸呑みしてみせた形勢逆転の記録である。

ロニーは、ストーンズに加入して45年以上にもなるが、それまでに代表作の大部分が出揃っていたこともあって、いつまで経っても内外から新参者扱いされている。過小評価以前に、批評そのものがあまりされてこなかった。

ブライアン・ジョーンズ、ミック・テイラー、そしてロン・ウッド


初代リーダーのブライアン・ジョーンズは、スライドギターの名手であった一方、作曲コンプレックスの反動で数多くの楽器を奏でたことから、ギタリストの範疇では語りきれない大きな存在になっている。

また彼に代わって加入したミック・テイラーは、雄弁なカウンターメロディを弾きまくる典型的なリードギタリストで、キース・リチャーズが “リフ・キング” に覚醒する起爆剤にもなったことから、在籍期間は最短ながらも黄金期を語る上で実に批評性が高い。

そんな過去の猛者二人に対して、ロニーはどういうギタリストなのかといえば… それは、彼の加入構想を当初よく思っていなかったビル・ワイマンの次の発言に象徴されている。

「キース・リチャーズは、2人もいらない」

アルバムのハイライトは「ビースト・オブ・バーデン」


『女たち』のハイライトは冒頭の「ミス・ユー」でも表題曲でもなく、キースとロニーのギターが偶発的かつ巧妙に絡み合う「ビースト・オブ・バーデン」だろう。

結成当初よりギターのコンビネーションをサウンドの鍵にしてきたストーンズが、従来通り各自の役割を明確に分担するのではなく、いずれもがリズムパーツであり、リードパーツでもあり続けるスタイルを本作で確立した。実際キースは、ここでの自分とロニーのプレイを完全には区別できないと言ったことがある。

ぼくの中のイメージだと、この見事なコンビネーションは互いが同じ歩幅で歩み寄った結果ではない。一方的に、ロニーがキースの聖域に “入って来やがった” 結果だと思う。

それも、怖い兄貴を敢えてからかう弟のように。ナイーブなテイラーとは違い軽佻浮薄なその男は、自分の定位置がどこであるかなど無視している。真剣を構えたキースの廻りを終始ウロウロウロウロ、ヘラヘラヘラヘラ…。

予測不能なギターの絡み、ストーンズを掻き回したロン・ウッド


そういうアッパレな怖いもの知らずぶりにより、ギター2本の絡みが予測不能になると、代わりにリズム隊の太さが増していった。そう、当初はモッズカラーも含まれていた彼らのグルーヴが本格的に黒光りしだしたのは、ロニーが掻き回したからだと思う。

ロニーが間奏でリードらしいリードを弾きだすときは、キースの聖域にきびすを返しながら「じゃあ、コレ済んだらまたすぐ遊びに来っから」と言っている感じがする。いやはや、天才奇才のすぐ隣で45年以上嗤っていられる男の勇ましさよ。

森は一日して成らないが、たぶんロン・ウッドは端からそういう奴だ。


※2018年2月14日に掲載された記事をアップデート

2020.06.09
59
  YouTube / The Rolling Stones


  YouTube / elnegrovilla
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。


おすすめのボイス≫
あったにゃで
ストーンズでのロン・ウッドの評価は難しい。ファンキーなロンより、ハードなミックの方が好みですが、「女たち」はロンでないと完成できなかったのでは?どちらかと言えばロンのソロ、特に「ナウルック」「スライドオンディス」に心は惹かれます。
2022/03/19 08:07
0
返信
カタリベ
1982年生まれ
山口順平
コラムリスト≫
21
1
9
8
9
大喧嘩する兄弟、切っても切れないミック・ジャガーとキース・リチャーズ
カタリベ / 宮井 章裕
13
1
9
8
7
ゼン・ジェリコは徒花じゃない!時代の狭間に響くストレートなバンドサウンド
カタリベ / 岡田 浩史
25
1
9
8
1
イアン・スチュワート、ストーンズから外された愛すべきブギウギの名手
カタリベ / 宮井 章裕
37
2
0
1
8
ポール・ウェラーは親バカなのか? 子煩悩ミュージシャンに物申す!
カタリベ / 平マリアンヌ
12
1
9
8
1
ローリング・ストーンズのアップデート術「刺青の男」は70年代のアウトテイク
カタリベ / 海老沼 大輔
13
1
9
9
3
PJハーヴェイ!一夜限りの来日公演決定、Tシャツ買わせてもらいます
カタリベ / やっすぅ