2018年 11月19日

デビュー40周年!いま全員が輝いている「お神セブン」当時の不遇を乗り越えて…

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83年組アイドルのイベント「不作と言われた私たち「お神セブンと申します」」が銀座博品館劇場で開催された日(初日)
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1983年は「アイドル不作の年」なのか?


中森明菜、小泉今日子、松本伊代、堀ちえみ、早見優、石川秀美など、たくさんの女性アイドルがデビューした1982年。それぞれがファンを増やし活躍していく中、その翌年の1983年も多くの女性アイドルがデビューした。おそらく1982年デビュー組の成功を受けて、各レコード会社や芸能事務所は、まだまだ需要があると踏んだのかもしれない。

しかし、1983年デビュー組は、テレビの歌番組で歌を披露する機会がたくさんあったものの、セールスにおいてかなり苦戦を強いられ、「アイドル不作の年」と言われた。仕方がない。82年組は2年目に入り、それぞれがベストテンにランクインするなど勢いを増していたし、松田聖子、河合奈保子、柏原芳恵といった1980年デビュー組も、安定していたどころかヒット曲を連発し、さらにパワーアップしていたのだから、当時の女性アイドルは飽和状態だったと言える。

歌手としてはヒットに恵まれなかったものの、それぞれがタレントや女優として活躍し、結婚や子育て、親の介護などを経て、気がつくと35年の月日が流れていた。そんな2018年、そんな彼女たちの中から7人のアイドルがイベントを立ち上げる。

それが「お神セブン」である。

「同期のアイドルたちに会いたい!」がきっかけだった「お神セブン」


「お神セブン」とは、1983年にデビューした女性アイドル(大沢逸美、桑田靖子、小林千絵、徳丸純子、木元ゆうこ、森尾由美、松本明子)の7名によるユニットである。ある番組企画で大沢逸美が「同期のアイドルたちに会いたい!」と言ったのが再会のきっかけだ。

その時大沢逸美と再会したのは小林千絵、桑田靖子と松本明子。そこから輪が広がり、7人が集まったのが池尻大橋のイタリア料理店だという。そして何度か集まるうちに、この7人で何かやろう、ということから「お神セブン」が実現する。

2018年11月、デビュー35周年記念としてライブイベント「83年組アイドル〜不作と言われた私たち「お神セブン」と申します」を開催。残念ながら私は見にいけなかったのだが、2日間3回公演、かなり盛り上がったと聞く。



ちなみに「お神セブン」とは「家庭では妻や母の顔を持つ年齢となり、“おかみさん” の風格はあっても心はアイドル!」ということろから、平成のアイドルグループにならって「お神セブン」と名付けたそうだ。

ではその7人について、それぞれに対する個人的な印象などを書いてみる。

大沢逸美


デビュー曲「ジェームス・ディーンみたいな女の子」は、山口百恵テイストでインパクトの強い作品だったが、聖子フォロワー的なアイドルが続く中ではとても新鮮だった。浜田省吾の曲をカヴァーしたサードシングル「ダンシング・レディ」などナイスな選曲だと思った。

その後女優として活躍。東海テレビ制作の昼ドラ『約束の夏』で主演したときに、「いい女優さんになったなぁ」と思った。ちなみにVシネマ『おとこ喰い』ではソープ嬢を演じ、なかなかハードな濡れ場があった、と作品を見た友人が教えてくれた。



桑田靖子


誰もが認める抜群の歌唱力。楽曲にも恵まれていた。デビュー曲「脱・プラトニック」はオリコン最高50位。83年組の中では好成績だった。音楽からバラエティに移行したことで歌手活動の場が広がっていかなかったことがもったいない。

今は自身で作曲活動を行って精力的にライブ活動を行っているが、いろんなことから解き放たれて本当に歌いたかった歌を歌えているのではないだろうか。彼女については以前『いまを歌う桑田靖子「夢見るように生きましょう」83年組アイドルは不作だったのか?』というコラムを書かせていただいているので、そちらをお読みいただけると嬉しい。

小林千絵


「ヒデキ(西城秀樹)の弟・妹募集オーディション」の決戦大会では審査員の満場一致で優勝に決まっていたところを、西城秀樹が土壇場で「(河合)奈保子のほうがいいんじゃない?」と言ったことでひっくり返ってしまったという不運。しかし歌手になりたい一心で夢を捨てずYAMAHAのオーディションを受け、ついにデビューを果たすという努力の人。

高校生の頃に地元で「スゴくかわいい子がいる」と噂になっていたほどのルックスと安定した歌唱力は、アイドルとしては満点だったのだけど、おそらく「全てが完成していた」ことがマイナスに働いたのかもしれない。デビュー曲「いつも片想い」は唯一オリコンにランクインした彼女の代表作だが、明治シェイク29のCMソング「ちくはぐキッス」(作曲:近田春夫)もコミカルな仕上がりで好きだった。



徳丸純子


お神セブンの中では一番おとなしい存在という気がする。デビュー曲「聖・ファーストラブ」を聴いたときは清潔感のある、初々しい印象だった。セールス的にはセカンドシングルの「PICA-PICA」が一番だけど、私は大貫妙子(作詞)×清水信之(作曲)によるサードシングル「恋はシーソーゲーム」が好き。

結婚して今はアメリカのシアトル在住。少し前にBSフジの『クイズ! 脳ベルSHOW』に出演されていたが、上品な感じは「変わらないなぁ」と思った。

木元ゆうこ


歌手活動期間が短いこともあり、他のアイドルより知名度は劣るが、中山美穂主演のドラマ『夏体験物語』では意地悪な先輩役で出演するなど、女優として活躍。「中学生の頃、不登校になった上にやさぐれていた」「いきなり丸坊主にした」「芸能活動休止後ひとりでインドに旅に出た」など、いくつもの香ばしいエピソードを持つが、今では喋るとボケボケの天然キャラ。

お神セブンの中では、お笑いキャラの小林千絵といいコンビ。アイドル時代には気づかなかったが、歌がスゴく上手い。デビュー曲「チェリーガーデン(桜の園)」は阿木燿子(作詞)×中村泰士(作曲)による名曲。



森尾由美


デビュー曲「お・ね・が・い」を歌う姿を見て、「どこかで見たことがあるなぁ」と思ったら、その前年、原田知世主演のドラマ『ねらわれた学園』に出演していた。脇役にしては「かわいい子だなぁ」と思っていた記憶が蘇った。

歌手としてのヒットはなかったが、バラエティ番組やドラマで長く活動している。お茶の間では磯野貴理子・松居直美と3人で出演しているトークバラエティ『はやく起きた朝は…』が有名だろう。ピンクハウスやインゲボルグの服を着用することが多く、歳を重ねてもかわいらしい。

松本明子


デビュー曲「♂×♀×Kiss」のインパクトはタイトルを含め相当強烈だったが、ヒットが出ないうちに『オールナイトフジ』での放送禁止用語事件。一時期活動休止を余儀なくされたものの、その後バラドルとしてバラエティやものまね番組で活躍するようになり、芸能界での存在を確たるものにした。

しかしこの方の高い歌唱力を忘れてはいけない。『スター誕生』の決戦大会で松田聖子「Summer Beach〜オレンジの香り〜」を歌ったときの伸びやかな歌声はとても印象的だった。そして、自身が主演したドラマ『サービス』の主題歌「soon」は呉田軽穂(松任谷由実)が作曲した佳曲(作詞は松本明子本人)。



どうだろう―― 不作だなんてとんでもない! 7人ともかなり個性的なメンツではないだろうか。

デビュー40周年を迎えるお神セブン


当時、同期のアイドルはテレビ番組の収録などで一緒になることが多かったそうだが、デビュー1年目が終わる頃、松本明子が「私たち1年目という枠が外れたら新人じゃなくなるから、これからみんなバラバラになって会わなくなるね。でも私たち売れなくて悔しかったけど、長いこと生き残ろうね」

―― と言ったそうだ。

その言葉通り、40年経った今でも活動しているではないか。テレビ番組の企画がきっかけだったのかもしれないが、彼女たちの才能、そして当時の不遇な状況を努力で乗り越えてきたからこそ、それぞれがシンパシーを感じ、集まり、そして今に至ったのではないだろうか。

先日、桑田靖子が小林千絵、木元ゆうこと3人でクリスマスライブを行った。それぞれのデビュー曲を歌うコーナーがあり、『夜のヒットスタジオ』のオープニングのように、小林千絵が木元ゆうこの「チェリーガーデン(桜の園)」、桑田靖子が小林千絵の「いつも片想い」、木元ゆうこが桑田靖子の「脱・プラトニック」を歌ったのだが、

「経験がないもんでね〜(夜ヒットに)出たことないから」

と自虐ネタを盛り込みながらも、当時の振り付けを交えて楽しそうに歌っている彼女たちを見て、ほっこりとした気分になった。

なお、お神セブンの面々は今年デビュー40周年を迎える。素敵に歳を重ねた彼女たち。デビュー当時は不遇だったかもしれない。しかし、40年経った今、みんなキラキラと輝いている。

桑田靖子のライブでは――

「お神セブンとしてまた何か活動できたらと思っている」

という発言があった。だからきっと今年も何かやってくれるだろう、と期待している。それぞれが魅力に溢れた彼女たちの今後の活躍に期待したい。

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2023.01.06
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カタリベ
1966年生まれ
綾小路ししゃも
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