80’s Idols Remind Me Of… Vol.13
お・ね・が・い / 森尾由美
80年代アイドルシーンの中でも花の82年組と比して不作と言われた83年デビュー組の7人が一堂に会したイベントが、2018年に行われて、ちょっとした話題になっていた。
すなわち大沢逸美、木元ゆうこ、桑田靖子、小林千絵、徳丸純子、松本明子、森尾由美の7人のこと。自虐的意味合いを込めて『35周年イベント☆83年組アイドル ~ 不作と言われた私たち『お神セブン』と申します ~』と銘打ったイベントが敢行されたわけで、これ今考えると万難を排して行けばよかったなって、後悔している。
俯瞰してみてみると83年は決して不作でもなんでもなくて、82年が豊作過ぎたのだ。この『お神セブン』だって、80年代アイドルシーンの一角を彩った錚々たるメンツだ(と言えなくもない)。徳丸純子のラインナップなんか、絶妙としか言いようがありません。ここに伊藤麻衣子、岩井小百合、小出広美、武田久美子あたりが名を連ねれば、83年デビュー組も捨てたもんじゃない、って思えません? 思えるはず…。
83年デビュー組のトップ軍団はというと、岩井小百合を筆頭に伊藤麻衣子、武田久美子、森尾由美あたりということになるだろう。中でも森尾由美のルックスの秀逸さ、というかアイドルとしての見た目の可愛さ&絶妙なスタイルのよさ加減は、群を抜いていた。
おまけに単なる女子高生的な可愛さのみならず、83年のトレンドでもあった女子大生的な “親近感ありつつも、どことなく高め系雰囲気を醸し出す” 微妙な塩梅までもがいい感じで加味。
デビューシングル「お・ね・が・い」(83年)リリース時には、とんでもなく可愛い娘が鳴り物入りでデビューするぞ! みたいな期待がマックスになっていたのを覚えている。
「お・ね・が・い」は1983年5月5日にリリースされた。歌の拙さは、70年代の浅田美代子、大場久美子とまではいかずとも、同期の武田久美子に匹敵するほどか。これに関してはアイドルソングの魅力の範疇として、森尾由美の場合逆に武器になっちゃっている感が。なんといってもあれほどの器量良しなのだから、大いに許せるってことでしょう。
冒頭からドリフターズ(アメリカの方ですね。念のため)の大名曲「ラストダンスは私に(Save The Last Dance For Me)」(60年1位)のメロディを彷彿とさせられ、どうも全体的にいわゆる “オールディーズ” の雰囲気が漂ってくる。
要は想起させるところは、60年代のコニー・フランシスや、ブライアン・ハイランド「ビキニスタイルのお嬢さん(Itsy Bitsy Teenie Weenie Yellow Polka-Dot Bikini)」(60年1位)といったところだろうか。また、他愛のない “4つのお願い” を訴える歌詞も、ちあきなおみのあの名曲を思い起こさせ、やはりオールディーズの範疇にたどり着いてしまう。
うーん、この時点ではある意味手あかのついた手法でもあっただけに、もう少しサウンド的な冒険は欲しかったが… 世のアイドルのニューミュージック化とは一線を画したかった、のかもしれない。
どんな御託を並べても、森尾由美がにっこりと拙い歌唱を披露すればするほど、そんなことはどうでもいいのだが。“いやらしい男たちが” “ちょっとエッチな恋もしてみたい” “して、して、して、お願い!” なんて歌われた日には… それはもう悶々とするしかないでしょう。
2019.07.06
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