不思議なネーミングの清涼飲料水「シンビーノ」
今から考えると1980年代って “不思議なネーミングの清涼飲料水” って多かったんだよな。今回セレクトした楽曲もそんな清涼飲料水のCMに使用されていた曲。
大塚製薬から発売されていた「シンビーノ」っていう炭酸飲料、覚えていませんか? 今から37年前の冬の日、テレビCMで頻繁に流れていた清涼飲料水。
確かに、なんか不思議なネーミングの飲み物だったんだけど、中身は “アップルタイザー”。アップルタイザーで分かりにくかったら、果汁100%のアップルジュースを炭酸で割った飲み物。お酒を飲まない人も楽しめる“ノンアルコールのアップルワイン” といったところですね。ジュースではあるけどノンシュガーだからすっきりとした甘さで、ワタシは大好きな飲み物でしたね。
ちなみに、このシンビーノから派生し、1989年に発売されたのが「ジャワティ」(無糖紅茶)なんですね。
CMのバックで流れた魅惑の曲、BORO「ネグレスコ・ホテル」
そもそもこの飲み物に興味を持ったのは、ネーミングもさることながら、CMのバックで流れていた魅惑的な楽曲に惹かれて… というのもある。
ネグレスコ・ホテルにたどり着くまで
あと50マイル 南へ走ろう
右に陽が傾くまでに
そう、BORO の「ネグレスコ・ホテル」ですね。
やや赤茶けた乾燥地帯の映像をバックに、あの独特なメロディと BORO のややハスキー、かつブルージーに崩したボーカルがよく馴染む。
まるで映画のワンシーンフィルムのようで、商品CMって感じがしなかったんですよ。やもすると「ネグレスコ・ホテル」の曲ばかり耳に残り、商品のイメージは残らないようなキライもあったりして…。それだけにシンビーノって謎多き飲み物のイメージがあったんだよな。
シンビーノだけじゃない、80年代の不思議なネーミングの清涼飲料水
シンビーノのほかにも、80年代は不思議なネーミングの清涼飲料水ってあったよなぁ。たとえば、「アンバサ」。これはコカ・コーラボトラーズから発売されていた乳性炭酸飲料。味は「カルピスソーダ」ですよね。ただ、カルピスソーダよりもちょっと甘さが強かったような…。
「カルピス」ならそうネーミングに入れてくれればわかりやすいんだけど、“カルピス” っていうネーミングは登録商標で、コカ・コーラボトラーズでは使えない。だから、こういう一見よくわからないネーミングになったんだろうなぁ。
これは、シンビーノも同じ。アップルタイザーなら、そうネーミングに入れてくれればわかりやすいんだけど、この “アップルタイザー” も登録商標なんでね。
その他、ペプシから発売されていた弱炭酸飲料「マウンテンデュー」や、サントリーから発売されていた炭酸飲料「サスケ」… など、今考えてもワケが分からんネーミングの清涼飲料水、たくさんあったよなぁ。
ちなみに、マウンテンデューは今も自販機などで販売中。… と書くと「見たことない」って言われるんですけど、少なくともワタシの家の周りの自販機では販売してますね。一方、「アンバサ」も今も販売されてるとのことなのですが、逆にこちらは個人的には見かけないなぁ。
やっぱり井上大輔アレンジのオリジナルバージョンがいい!
ところでこの「ネグレスコ・ホテル」、1983年当時のCMで流れていたオリジナルバージョンは、1983年1月1日、ビクターから発売されたもの。そう、元日リリースだったんですよ、この曲。
でもね、今、音楽配信各サイトで配信されている音源の多くが、1983年当時流れていたオリジナルの音源じゃないんだよな。いや、配信だけでなくレンタルしているCDもほとんどすべてが別バージョンの音源になっている。
それというのも、後にビクターから徳間ジャパンに移籍した時にリリースした別バージョンだから… なんだよね。
…で、これがオリジナルのブルージー&ジャジーなアレンジとは異なりボサノバっぽいアレンジで… イメージが異なるんだよなぁ。この曲と言ったら、なんと言っても井上大輔氏がアレンジしたオリジナルバージョン! だよなぁ。
音楽配信は現在、ダウンロードが中心でサブスクリプションでは配信されていないようだけど、サブスクリプション解禁の時は、ビクターのオリジナルバージョンも配信してほしいですね。
最近の音楽配信は、ダウンロード、サブスクリプション問わず、特に90年代以前の過去曲では、このようにオリジナルではなく別バージョンのみ配信されている楽曲が非常に多い。だからどうも楽曲イメージが崩れるんだよなぁ。
オリジナルバージョンの音源がすでに存在しない、配信許諾が下りない… など問題があるんだろうけど、ここは音楽配信の今後の課題ですね。
リバーサイドホテル、背中まで45分… ホテルを題材にした曲がトレンド?
余談だけど、1982~1983年は、この「ネグレスコ・ホテル」のような “ホテル” を題材にした曲が多かったんだよね。井上陽水「リバーサイドホテル」に、沢田研二の「背中まで45分」もそうだよね。
当時、ホテルっていう雰囲気はトレンドだったんでしょうかね? ただ、この「ネグレスコ・ホテル」のようにシティホテルというより、砂漠の中のオアシス的な雰囲気の空気はあったような気がする。
そして、あの頃のワタシは、精神的に “砂漠” のど真ん中だったんだよなぁ。そうそう、たしかこの曲がヒットし始めた当時、ひどい風邪をひいたんだよな。そのときに飲んだシンビーノはうまかった…。また発売してくれないかなぁ、大塚製薬様。
Song Data
■ BORO / ネグレスコ・ホテル
■ 作詞:BORO
■ 作曲:井上大輔
■ 編曲:井上大輔
■ 発売:1983年1月1日
■ 発売元:東芝EMI
■ オリコン最高位:31位
■ 売上枚数:6.2万枚
■ タイアップ:大塚製薬「シンビーノ」CM曲
2020.02.28