3月16日

チェッカーズ「I Love You, SAYONARA」青春の日々に刺さったセツナソング

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チェッカーズのシングル「I Love you, SAYONARA」がオリコンチャートで最高位(2位)を記録した日
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別れの春を象徴するチェッカーズのセツナソング


春、特に今の時期のヒットソングと言うと、どうしても卒業ソングがイチバンに来てしまいます。次いで春らしいポップな曲とか、2000年以降だったらタイトルに “桜” が付く曲ですかね。

なんとなく“ホッ” とする曲がある中、逆に切なくなる曲ってのも、いくつかあるんだよね。春は旅立ちの季節… と同時に別れの季節ということを反映してという事でしょうか。波乱万丈、いろいろなことがあるのが、“春” の特徴だったりしてね。そんな “セツナソング” の中の1曲が、今回セレクトしたチェッカーズ「I Love you, SAYANARA」かな… って、ワタシは思うのね。

前作「NANA」に続く自分たちの手による作品


前年1986年6月の「Song for U.S.A.」までは、シングルと言ったら売野雅勇、芹澤廣明っていう、ブレーンソングライターの曲が続いていたチェッカーズだが、その前曲「NANA」からは、シングルも自ら作詞作曲を始める。この曲は「NANA」に続いての自分たちの手による作品。

「NANA」以前は、ブレーンのソングライターによって、バンドの性格自体作られていたという部分も否めなかったんですよね。ごく初期は、アイドルバンドとして、そして85年頃からは GS の再来的ニオイが強いバンドに… って具合に。いずれにしろお仕着せ的なところ感は強かったし、デビュー5年目ということで迎えようというときに、そういうお仕着せなところにもが窮屈になってきた部分も強かったのでは… と思う。

そういう意味では、タイミングを見計らっての自作への転換だったと思うけど、チェッカーズはそれまでにない “ラフ” な形のバンドへ変化しましたよね、この時期。サウンド的にもそうだし、歌詞、メロディ全体にわたって、それまでの重石が吹っ切れたって言うか、“自由” を感じたよね。

広がるチェッカーズの世界観。これ以降、別れの曲が増えた?


その辺りが端的に出てきたのが、この「I Love you, SAYANARA」ではなかったかなぁ。「NANA」は、自作のしょっぱなっていうところもあって、お披露目的なところもあったし、まだ “遠慮” した感じだしね。というものの、歌詞が問題になり NHK では放送禁止になっちゃいましたが… でも、「これぞ、自作だ!どうだ!」っていう彼らの自信が見えたのは、この曲からだと思いますね。

同時に、こんな “切ない別れ” の曲に挑戦したのも、この曲が初めてだったんではないかなぁ、シングルとしては。だからかなぁ、ラフな音の中にも、感情が入っていた気がする、フミヤのボーカルにも。

これで味をしめたというわけでもないだろうけど、この曲以降、別れの曲が増えた印象があるチェッカーズだったりする。たとえば、88年の「Jim&Janeの伝説」とか。加えて同じく87年の「Blue Rain」や89年の「Room」などのブラックで重いマイナー系の曲も増えた印象が強いなぁ。でも、そういう曲調の幅が広がったという面も含め、個人的には自作になってからのチェッカーズのほうが好きな曲が多いですね。

オリコンチャートからみた「I Love you, SAYONARA」


ところでチャート的にこの「I Love You, SAYONARA」はどうだったのか? 結果から見ると前作「NANA」に続き、本作でもオリコン最高位2位止まり… と、売野 / 芹澤コンビの頃のようなオリコン1位はどうしても獲得が叶わなかった。もっとも「NANA」の時は、初めての自作という事もあってあまりチャートにはこだわらなかったかもしれない。でも、“これぞ自作曲だ!” と自信もってリリースした本作ではオリコン1位を取りたかったのではないか。それでも結果はオリコン最高2位。

同じ1987年3月16日付初登場には、少年隊「Stripe blue」がいた。「I Love You, SAYONARA」の3月5日リリースに対して、「Stripe blue」のリリースは3月3日。「Stripe blue」の初動売り上げ9.9万枚に対して、「I Love You, SAYONARA」の初動売り上げは9.6万枚。リリース日2日のずれの差がそのままチャート初登場の順位の差になった… と言っても過言ではなかろう。

悶々と過ごした青春の日々… 心に刺さったフミヤのボーカル


自作になった以降のチェッカーズの曲が好きだったという理由に、あの当時の個人的な人生的な背景もあるな。88年の「Jim&Janeの伝説」の時は、それこそ “浪人時代” で、生活全てが切なかったし、今回この「I Love you, SAYONARA」がヒットしていた頃は、どうしていいかわかんないくらいの“悶々” とした日々だった…。当時17歳。いまから思えば “思春期” のソウウツ状態ですよ。

当時はと言えば、相変わらず音楽三昧の日々ではあったものの、大学受験への不安が日に日に強くなってくる。1つ下の学年の女のコを好きなったりしたけど “コクる” ことも出来ないウブな私がいる… とにかくどうしたらいいかわかんない毎日…

そんな悶々とした日々に聴いた、この切ない歌詞と、訴えかけるようなフミヤのボーカル。今のこの状況から抜け出したい。そんなことばかり考えていたような中で刺さった1曲。

今聴くと、あのころの悶々とした日々の記憶が鮮明に甦ってくる… そんな1曲なんだよなよね、ワタシにとっては。今から33年前の春。青春は遠くになりけり… だなぁ。そして、オリジナルメンバーでは永遠に聴けなくなったチェッカーズの曲が、妙に遠い時代の曲のようにも思えたりする今日この頃… ですね。


Song Data
■ チェッカーズ / I Love You, SAYONARA
■ 作詞:藤井郁弥
■ 作曲:大土井裕二
■ 編曲:THE CHECKERS FAM
■ リリース日:1987年3月5日
■ 発売元:キャニオン
■ オリコン最高位:2位
■ 売上枚数:25.8万枚

■ タイアップ SEIKO「アベニュー」CM曲
■ かじやんの THE HITCHART HOT30 最高位:1位
■ HOT30 ランクイン期間:1987年3月9日~6月1日付


2020.03.16
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カタリベ
1969年生まれ
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