4月21日

初恋の思い出に満ちたプリンセス プリンセス、無垢な気持ちで長く愛せる大切なバンド

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プリンセスプリンセスとバングルス、80年代に最も成功したガールズバンド


プリンセス プリンセス(以下プリプリ)は “女性のみで構成されたバンドの中で、商業的に最も成功したグループ” とウィキペディアにある。これに似たフレーズをどこかでみたことがあるなと思ったら、それは「マニック・マンデー」「エターナル・フレーム」なんかを大ヒットさせた米国のガールズバンド、バングルスの解説文だった。彼女たちも “80年代に最も成功したガールズバンド” という解釈が定説だ。

どちらも日本の音楽メディア特有の言い回しなのかもしれないけれど、両バンドとも文句なしに大衆ウケする音楽的・ルックス的な要素があって、在りし日を思い出させるに十分な魅力と時代性を備えている。そして解説文に納得しながらも、なぜか “最も成功した” の一文に一抹の引っかかりを感じてしまう点も、共通しているように思う。

ちなみにバングルスは現在でもちょくちょくライブをやっていて、なかでもヴォーカル&ギターのスザンナ・ホフスは60歳を越えた今もチャーミングなベッピンさんだ。ミニスカワンピースにリッケンバッカーを抱えた還暦越えの小柄な女性として、世界で最も成功した一人といってよい。

僕が恋した女の子はカラオケでプリプリばっかり歌っていた!


さて一方、プリプリについて今思うこと。これはごくごく個人的なことだけれど、プリプリの数々のヒット曲は僕の高校生時代のウブでピュアな恋愛の記憶とガッチリ結びついている。だから彼女たちの全盛期のベスト盤『SINGLES 1987-1992』は、僕にとって世界で最も成功した思い出ヒットパレード名盤ということになる。

といっても、なんのことはない。ただ当時高校2年の僕が恋した女の子が、デートでカラオケボックスに行くたびにプリプリばっかり歌っていたというだけの話しである。なので、熱心なファンだった時期がないにもかかわらず、あれから30年経った今でも、僕にとってプリプリはいつまでも大事に思いたい大切なバンドの一つになっている。40代半ばを過ぎてもそんな理由で推したいアーティストが人生に一つくらいあってもいいじゃんないのかい!?

「MY WILL」「19 GROWING UP」「GET CRAZY!」そして「Diamonds」


プリプリは1988年、にわかにメディア露出が増えてきた。その頃のことは僕もよく覚えていて、ヴィクトリアのCMソングだったシングル「MY WILL」、ヴァン・ヘイレン「ジャンプ」を彷彿させる「19 GROWING UP」あたりでテレビに出始めた。続く「GET CRAZY!」はドラマ『君が嘘をついた』主題歌、そしてソニーのオーディオテープCMソングにして最大のヒット曲「Diamonds」であっという間にお茶の間のトップアーティストになっていた。

そのほか「世界でいちばん熱い夏」「OH YEAH!」「ジュリアン」などなど、88~90年にかけてプリプリのシングル曲は、当時の女子にとってカラオケで歌わなければならない必須の定番曲だったと思う。

まだ1曲ごとに100円玉をチャリンと入れて選曲するカラオケ機だった。僕は恋した彼女と1曲1曲かわりばんこに歌い、結局彼女が歌った歌がぜんぶプリプリだったということもあった。デートといっても手を握ることもなく、ホントに歌って終わりで、あとはバス停まで歩いて、ベンチでバスを待って、手を振ってお見送りするだけ。

無垢な気持ちで長く愛せるアーティスト、それがプリンセス プリンセス


不器用な16歳だった。でもそれは当時の僕なりに恋に真剣だったからだと、今もプリプリをどこかで耳にするたび振り返るわけだ。「♪ うまくいえないけど宝物だよー」と声を大にして歌いたい。中年になってもそんな理由で心に残るアーティストが人生に一つあってもいいんじゃないですか、ねぇ、奥さん!

あれから30有余年。平成初期からすると、音楽のメインストリームも、ヒット曲の生まれ方も、ガールズバンドのあり方も、カラオケ機も変わった。ひょっとすると “最も成功した” の意味さえ変わってしまったのかもしれない。そんな時代のなかで初恋の思い出に満ちたプリプリや、冒頭で触れたバングルスのように、無垢な気持ちで長く愛せるアーティストに僕はあとどれくらい出会えるだろうか。余談ながら、奥居香が作った曲の中でいちばん好きなのは、沢田研二に提供した「ポラロイドGIRL」(作詞:サエキけんぞう)です。

2020.03.01
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カタリベ
1974年生まれ
吉井 草千里
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