米米CLUBの初期メンバーに女装をしたギタリスト、博多めぐみ(通称めぐちゃん:1988年まで在籍)がいる。私と友人のサトちゃんは最初からうすうす男性であることに気づいていたが、サトちゃんの兄(当時中学3年生)は、女性だと信じて疑わなかった。のちに、めぐちゃんが「坂本琢司」という男性であるという事実を知ったときには、ショックで倒れ、しばらく塞ぎ込むほどだった。
めぐちゃんのギターは迫力があるのに可愛かった。そんなめぐちゃんが私も大好きだった。
1986年の秋頃、私とサトちゃんは運良く最前列でLIVEを観ることができた。場所はちょうどめぐちゃんの目の前。演奏中に「めぐちゃーん!」と手を振ると、あっちに行け! と言わんばかりに足で蹴られる(笑)。可愛い姿とは裏腹に、やんちゃな行動をとるのはいつものこと。冗談なのか、本気なのか、そこがまた魅力的に映るから不思議だ。
米米CLUBのLIVEと言えば、メンバーの振付を真似て観客が一緒に踊り、会場が一体となって盛り上がるのが特徴的だ。その中でも、アルバム『シャリ・シャリズム』(1985年10月21日発売)に収録されている「かっちょいい!」という曲は、最初から最後までアップテンポの激しく動く振付だ。曲の最後の方に、軽くジャンプしてから屈む振付がある。
この時、ベースのBONちゃんのおそらく胸ポケットから、タバコがポロっと床に落ちた。「あ!」と思ったその瞬間、それに気づいためぐちゃんが、即座に客席に向かってタバコを蹴飛ばした。すごくラッキーなことに、そのタバコはサトちゃんの元にまっすぐ飛んできて、見事キャッチしたのだった。
ライブ後に、関係者出入り口のところでちょっと待ってみることにした。しばらくするとドアが開き、メンバーが現れた。
サトちゃんは、BONちゃんのタバコを片手で胸の前に抱え、満面の笑みを浮かべながら手を振っていた。すると、めぐちゃんが脇目も振らずにサトちゃんのところにやってきて、そのタバコを無理やり奪い取り、パーン! と勢いよく道路に投げつけて、スタスタと立ち去ってしまったのである。
あっけにとられるサトちゃんと私。―― いったい今のは何だったんだ??
サトちゃんと顔を見合わせて笑ってしまった。
翌年、とても残念なことに、めぐちゃんはメンバーから脱退。姿が見えなくなると、余計にめぐちゃんのことが気になり、あのタバコ投げ捨て事件のことも思い出す。今後もしも会うことができたなら、あの面白く不可解な行動のことを是非とも伝えてみよう、可能ならば脱退の理由も聞いてみようと、思い出す度に漠然とそう思っていた。
めぐちゃんが脱退してから9年後に米米CLUBは解散した。さらに月日が流れ、私も社会人になっていた。
ある日のこと、新規の会社から問合せがあり、打ち合わせに行くことになった。会議室に通され、まずはご挨拶。そこに現れた部長が、な、な、なんと!! “めぐちゃん” こと、“坂本琢司さん” !!! 会いたかった人が目の前に現れたのだ! 1986年からずっと無意識にイメージしてきたこと。それが現実となった瞬間だ。
その後、仕事以外の話もできるようになり、「BONちゃんタバコ投げ捨て事件」のことを笑い話として伝えることができ、脱退したときのことも直接伺うことができた。まさか、まさかのイメージの現実化! 嬉しかったなぁ。
イメージ力は具現化する最初のエネルギーになる。しかし、そこに否定的な感情や恐れ、執着があると、そのネガティブなイメージが “実現” する。「どうせ叶いっこない」と思えば、叶わないことが現実に用意され、「叶って欲しい」と執着すれば、その言葉を再び言いたくなるような現実が訪れる。
つまり、【すべて叶っている】のだが。不本意な結果を招かぬよう、ネガティブな感情・感覚・イメージにはくれぐれも気を付けて。
2017.12.19
YouTube / super565x
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