1月23日

マイケル・ジャクソンのアルバム「スリラー」から生まれた名作ミュージックビデオ

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photo:Michael Jackson  

マイケル・ジャクソン「スリラー」揺るぎない評価のミュージックビデオ


マイケル・ジャクソンのアルバム『スリラー』から生まれた名作ミュージックビデオ3本。
『ビリー・ジーン / アルバム「スリラー」から生まれた名作ミュージックビデオ』と、『ビート・イット / アルバム「スリラー」から生まれた名作ミュージックビデオ』に続き、今回紹介するのは、「スリラー」。

意外にもシングルチャートで1位になっていない「スリラー」(最高4位)ですが、ミュージックビデオとしての評価は揺るぎないものがあり、様々なメディアの人気投票や格付けで1位もしくは最高の評価を得ることが多いと言えるでしょう。

アルバムのリリースから1年経ってのタイトルトラックのシングルカット、ということで楽曲自体は人々にとっては既に慣れ親しんだものであるはず。ミュージックビデオも「ビリー・ジーン」、「今夜はビート・イット(Beat It)」を経験済みの視聴者はありきたりのものでは容易に驚かないはずでした。しかし、13分を超える「スリラー」のミュージックビデオで我々は簡単に度胆を抜かれるのでした。

古き良き時代のホラー、サスペンス映画をリスペクト


監督はジョン・ランディス。映画『ケンタッキー・フライド・ムービー』や『ブルース・ブラザース』、『アニマル・ハウス』などを監督しているのでコメディや音楽映画の手腕を買われての起用とも思えますが、これはマイケルがジョン・ランディスの『狼男アメリカン』に興味を持ったためだと言われています。ですから、特殊メイクも『狼男アメリカン』のリック・ベイカーが担当しています(『スター・ウォーズ』や『ハウリング』でも活躍した特殊メイク界の巨匠、「スリラー」のPVではゾンビとしても出演)。

また、ホラー映画風のナレーションや不気味な笑い声は往年のホラーの名優、ヴィンセント・プライスが務めており、マイケルとガールフレンドが劇中で観ていた映画も「ヴィンセント・プライス主演、スリラー」と映画館の看板に記されています。また、ガールフレンドがマイケルのゾンビ顔に驚いた時のズームなど、こうしたカメラワークもヒッチコック・オマージュとも言えるでしょう。

他にもタイトルのロゴなど、様々なホラー映画のディテールを思わせるようなシーンが満載。古き良き時代のホラー、サスペンス映画のリスペクトを感じさせます。

ゾンビ映画の分岐点? ゾンビが踊るコミカルさが与えた影響


そして、やっぱりハイライトはゾンビとのダンスシーン。振り付けは「今夜はビート・イット」でも活躍したマイケル・ピータース(彼はゾンビダンサーとしても出演)。しかしマイケル・ジャクソンのソロの動きは、ほぼすべてマイケル本人が考えたようです。襲い掛かるように両手を振り上げながら前後左右に踊るあの独特な動きは様々な場面で引用されたり、パロディにされたりしていますよね。両マイケルに振付の著作権が必要だと切に思います(笑)。

しかし、ゾンビが踊るという発想は今さらながら凄いと思いますよね。

どこかコミカルに映るこの光景―― それまでの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』、『ゾンビ』といった映画が本格的ホラーだったのに対し、のちに制作されるゾンビ映画にコメディタッチのものが増えていったのは、この「スリラー」が分岐点だったのかもしれません。既に『狼男アメリカン』にもコメディの要素はありますしね。

音楽番組以外でもオンエア、13分を越える「スリラー」長尺バージョン


「スリラー」のPVはショートヴァージョンも制作されましたが、この長尺のフルヴァージョンは当時日本でもよくオンエアされてました。しかも音楽番組以外でも…

MTVのようなPVを専門にしているチャンネルだったらまだしも、通常の番組で13分も尺を割くのは結構英断なはず。しかし、現在のようなPC、スマホ、YouTubeも無かった時代です。メディア側がこの作品を見せたいと思った気持ちは凄くわかります。

今は、いつ何時でもこの作品を観られます。そんな時、こういうコンテンツがあってこそ、それが幸せなことなんだって、気づくんですよねえ。


※2017年12月4日、2018年11月30日に掲載された記事をアップデート

2021.01.23
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  YouTube / michaeljacksonVEVO 


  YouTube / michaeljacksonVEVO 
 

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ひろ
多くの出演者が一斉に同じダンスパフォーマンスをする、というライブもしくはプロモーションビデオの先駆けであり、メジャー化の走りであり、最も有名なビデオですね。短編ミュージカルとも言える?
2018/01/29 22:10
1
返信
カタリベ
1968年生まれ
DR.ENO
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