11月30日

音楽から総合エンタメに変化、マイケルの「スリラー」は時代の大きな転換点

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マイケル・ジャクソンのアルバム「スリラー」がリリースされた日
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photo:Michael Jackson  

ポップミュージックの転換点、マイケル・ジャクソン「スリラー」リリース


日本で最も有名な経営コンサルタントである大前研一は、ビル・ゲイツが表舞台に登場した1985年が時代の変わり目だったとして、85年以後を “AG” After Gates=ゲイツ後、それ以前を “BG” Before Gates=ゲイツ前と呼んでいる。

では、ポップミュージックの世界において、このような “新しい時代へ向けての大きな変化の出発点” を特定するとしたら、いったいどの年になるだろうか?

僕は、マイケル・ジャクソンの『スリラー』がリリースされた1982年こそが “それ” に当たると思う。上の例に倣うと、82年以降が “AT” After Thriller=スリラー後、それ以前が “BT” Before Thriller=スリラー前という訳だ。

もちろん、エルヴィス・プレスリーやザ・ビートルズの登場も大きな出来事だったに違いない。でも、『スリラー』がポップスを “音楽の一つ” から “総合エンターテインメント” に変化させた点で、この年が大きな転換点だったと言っていいのではないだろうか。

ギネスにも認定、シングルカットの7曲がTOP10入り!


このように多大な影響を及ぼした『スリラー』だが、実を言うと、僕はこのアルバムをちゃんと聴いたことは殆どなかった。前作『オフ・ザ・ウォール』をクルマの中に常備していたのと比べると、大きな違いである。

言うまでもなく、『スリラー』はギネスに “Best-selling Album” と認定されていて、収録された9曲のうちシングルカットされた7曲全てがTOP10入りしている、まさにモンスターアルバムだ。それだけに「売れすぎて、かえって恥ずかしい」という感覚があったのかもしれない。

とは言え、先行シングル「ガール・イズ・マイン」がリリースされた時点では、僕に「恥ずかしい」という感覚は全くなく、むしろ『オフ・ザ・ウォール』のサウンドを引き継いだ、とても洗練された作品だと感じていた。

時代はまだアナログ、デジタルに移行する “過渡期” だった


だが、サードシングル「今夜はビート・イット(Beat It)」あたりで様子が変わってきた。今この曲を思い出そうとしても、真っ先に脳裏に浮かぶのはエドワード・ヴァン・ヘイレンのギターソロと、この曲のパロディであるアル・ヤンコビック「今夜もEAT IT(Eat It)」のビデオクリップである。

極めつけは7枚目のシングル「スリラー」だ。この時代を生きた人間の中に、この曲のショートムービーとゾンビダンスを思い出せない人はいないのではないかと思う。何しろ、『オレたちひょうきん族』でもネタにされていたほどなのだ。こうしてアルバム『スリラー』は、徐々に純粋な音楽として評価される対象ではなくなり、僕自身も音楽的な興味をそそられなくなってしまった。

今回コラムを書くにあたって、久し振りにこのアルバムを通しで聴いてみた。そこで改めて気づいたのだが、サウンドがなんだか中途半端だ。前作と比べてデジタル機器の使用が増えているのが、かえってサウンドを安っぽくしてしまった。次作『BAD』の方がよっぽど質が高い、と僕は思う。

これはきっとマイケル本人のせいでも、プロデューサーのクインシー・ジョーンズのせいでもなく、たまたま時代がアナログからデジタルに移行する “過渡期” だっただけなのだろう。その点でも、このアルバムが時代の “転換点” だったと言えるのではないだろうか。


Billboard Charts
■ The Girl Is Mine(1983年1月8日 全米2位)
■ Billie Jean(1983年3月5日 全米1位)
■ Beat It(1983年4月30日 全米1位)
■ Wanna Be Startin' Somethin'(1983年7月16日 全米5位)
■ Human Nature(1983年9月17日 全米7位)
■ P.Y.T.(Pretty Young Thing)(1983年11月26日 全米10位)
■ Thriller(1984年3月3日 全米4位)

Billboard(Album)
■Thriller(1983年2月26日 全米1位)

※All Songs by Michael Jackson



※2017年11月30日に掲載された記事を再アップデート


2020.06.25
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