11月5日

薬師丸ひろ子「Woman “Wの悲劇” より」金属的な光沢の中に仄かなぬくもり

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薬師丸ひろ子のシングル「Woman “Wの悲劇” より」がオリコンチャートで1位を記録した日
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なんとなく冷たいイメージ… 薬師丸ひろ子「Woman “Wの悲劇” より」


今回のセレクトは「Woman “Wの悲劇” より」薬師丸ひろ子。

リリース当時の印象は、当時『月刊明星』付録の「ヤンソン」に連載していた、近田春夫氏の「新曲激評」でのこの曲の評ではないですけど、なんか「もしょもしょ」してて、ハッキリしない曲だなぁ… ということと、相変わらずオバさん声だよなぁ… っていう印象が強かったんだよね。

曲想も暗いし、妙な静寂感があるし… 雪が降ってる日の夜… 雪明りの中で、もや~っと流れてるイメージが強かった。はっきりいって、当時怖かったんだよね、この曲。

そもそも「Woman」っていうタイトルからして、なんとなく冷たいイメージがありません? ワタシだけかなぁ… !?

この曲がリリースされヒットしたころのワタシは、高校受験が目の前に迫り、受験地獄の真っ只中。どこか、いつもより神経質になっていたのは確かですね。机のスタンドライトの光だけの真っ暗な部屋と、石油ファンヒーターを焚いてる匂い… 傍らのラジカセのラジオから流れてくる曲々たち… この曲聴くとあの時の情景が脳裏をかすめる。

資生堂84年「冬」のキャンペーンソングに起用


そういえばこの曲、映画『Wの悲劇』主題歌と同時に、化粧品のキャンペーンソングでもあったんだよね。

ビンゴ! 資生堂84年「冬」のキャンペーンソング。

化粧品メーカーのキャンペーンソング華やかなりし70~80年代にあっても「冬」のキャンペーソングは、あまりなかったはずだ。化粧品と言うとどうしても、「春」「夏」「秋」と言うイメージが強く、木枯らし吹きすさぶ「冬」にメイクという話も少なかったからだと思うけど、これ以前の冬のキャンペーンソングは、1978年の「夢一夜」(南こうせつ)と1981年の「A面で恋をして」(ナイアガラ・トライアングル)の2曲だけだ(いずれも資生堂キャンペーンソング)。

これも、映画のイメージアップの為に、徹底的にマスコミを使ってやろう… っていう角川ならでは作戦だったのかなぁ。

ただね、今となって、この曲の評価が高いんだよなぁ。作曲したユーミン自身も、人に提供した曲の中でも最高の1曲と評価してるし。リリースから37年。曲の評価って、やっぱり時代によって大分変ってくるもんですねぇ。

確かに今この曲を聴くと、当時とはまた違ったイメージもあるのね。冷たいながらにも、仄かなぬくもり… っていうのかな。日本的なぬくもりを感じるんだよな。特に「♪ ああ 時の河を流れる船に オールはない 流されてく~」と続くサビのメロディラインには、そんな印象を受ける。

作曲は呉田軽穂=松任谷由実、今だから感じられる微妙な温度感


この曲、作曲は呉田軽穂=松任谷由実なんだけど、当時の松任谷由実としては、結構珍しいメロディラインでもあったな。今考えると。

なかなかコトバで表現しにくいんだけども無機質な光沢のある “金属的な手触り感” とでも言いますかねぇ。金属的な手触り感…って、上で書いた「仄かなぬくもり」と矛盾するじゃん… と思われるかもしれないけど、例えば、光沢のある白金にライトが当った時の、わずかなぬくもり感を感じることはないですか? 今、改めて聴くと、あの当時は感じられなかった、そんな微妙な温度感を感じるんだよな。これも長年ヒット曲を聴き続けてきた経験と言うのかなぁ? 当時15歳だったワタシは、まだ曲の表面的な部分しか感じられなかったからなぁ。

加えて、1984年は映画『フットルース』からのサントラ曲、特にボニー・タイラーの「ヒーロー(Holding Out for a Hero)」を下敷きにした曲が流行りだった。言ってみれば、派手で大味な曲ですね。

こういうわずかな温度感を五感で感じるような曲って少なかったんだよね。それが当時の感覚として対応が難しいかったんだろうな。当時、この曲を評価できなかったのは、そのせいだったのかもしれない。

薬師丸ひろ子主演の角川映画「Wの悲劇」主題歌


ところで、この曲は、角川映画『Wの悲劇』の主題歌だったわけだよね。このころは、薬師丸ひろ子と原田知世っていったら、角川映画の2大看板女優。必ず、この二人による主演映画の “併映” っていうパターンがお決まりだったな。

『Wの悲劇』は、原田知世主演の『天国にいちばん近い島』との併映。公開日は1984年12月15日。1985年のお正月映画第一弾として、公開されたわけですね。

この前が、薬師丸ひろ子『メインテーマ』に対して、原田知世『愛情物語』(公開日1984年7月14日)の併映… と。1983年~1985年くらいにかけては、角川映画は、この二人で持ってたようなもんだったよなぁ。

そんな角川2大女優併映の『Wの悲劇』と『天国にいちばん近い島』、評価は極端に分かれましたね。「内容が無い」と酷評された『天国に一番近い島』に対して、『Wの悲劇』は評価が高かったよなぁ。「女優開眼の薬師丸」… とか言われて。

舞台女優を目指す物語だけど、実際の舞台シーンの演出は、鬼才・蜷川幸雄氏で、めちゃくちゃシゴかれた様ですからねぇ。兎に角、怒り出すとすぐに灰皿や靴が飛んでくるような徹底して厳しい演出で有名な蜷川氏。

さすがに薬師丸ひろ子に対して、灰皿が飛んだことは無かったようだけど、彼女自身「体当たりの撮影だった」と振り返ってましたね。ある意味、薬師丸ひろ子が、今日、女優として生き残っているのは、この映画があったからじゃないかな。看板女優という肩書で、蝶よ花よ… といつまでもアイドル扱いのままだったら、今の “薬師丸ひろ子” は無かったはず。


Song Data
■ 薬師丸ひろ子 / Woman “Wの悲劇” より
■ 作詞:松本隆
■ 作曲:呉田軽穂
■ 編曲:松任谷正隆
■ 発売:1984年10月24日
■ 発売元:東芝EMI
■ オリコン最高位:1位
■ 売上枚数:37.3万枚
■ タイアップ:映画『Wの悲劇』主題歌


■ かじやんの THE HITCHART HOT30 最高位:1位
■ HOT30 ランクイン期間:1984年11月5日~12月31日付


※2019年11月5日に掲載された記事をアップデート

2021.07.09
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カタリベ
1969年生まれ
かじやん
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