映画「探偵物語」(1983年公開)で、薬師丸ひろ子さん演じるお嬢様女子大生と松田優作さん演じる私立探偵が空港で別れるラストシーン。主題歌が流れ、気持ちが映画の中に深く入っていく。
まだ早い夏の陽が、あとずさるわ
透明な水の底、硝子の破片が光る
だから気をつけてね
好きよ・・・ でもね・・・
たぶん・・・ きっと・・・
離れて見つめないで
主題歌がフェードアウトすると、ひろ子ちゃんは少し離れた場所に愛する探偵の姿を見つける。
下りのエスカレーターに乗っていた彼女は逆走して段を駆け上がり、探偵のいる場所へと向かう。一般区域と搭乗区域を隔てる腰ほどの高さの間仕切りを挟んでのツーショット。探偵の手がひろ子ちゃんの手をぎゅっと握る。
感情の高ぶりを抑えながら、だがその手は彼女の肩をしっかりと捕まえる。力強くちょっと強引な大人のキス。
しかもかなり舌をねじり込んでいる。
必死にそれを受け入れるひろ子ちゃん。
永遠に続くんじゃないかと思えるほど長く感じる16秒。
その流れで強く抱き合うこと40秒。
一瞬、抱擁を解きかけるが探偵は強い力で彼女の腕を取ると見つめ合い最後のキスが7秒。
唇を合わせてからここまで1分3秒・・・
長い! 長すぎる!!!!!
この作品はアイドル絶頂期に大学受験で休業していた薬師丸さんの復帰作。僕たちファンが待ちに待った主演作である。
それなのに何なんだろう。この喪失感は…。オジサン探偵の長すぎるディープキスで最後にすべて持っていかれて、まるで敗北したような気持ちになった。
一回り歳の違う成熟した大人の男に対する強烈なジェラシーと「ああ、この人には絶対に敵わない。」という気持ち。そんな訳で、薬師丸さんの「探偵物語」を聴く度に失恋した少年のような気持ちになってしまいます。これはもうトラウマでしょうネ。
でもね・・・ たぶん・・・ きっと・・・ (苦)
探偵物語
作詞:松本隆
作曲:大瀧詠一
編曲:井上鑑
発売:1983年(昭和58年)5月25日
2016.03.05
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