元カノと復縁したい男心を歌った岡村靖幸「カルアミルク」
1990年にリリースされた岡村靖幸の名曲「カルアミルク」には、当時を感じるこんな歌詞がある。
ファミコンやって
ディスコに行って
知らない女の子と
レンタルのビデオ見てる
ファミ “コ” ン、ディス “コ”、オンナノ “コ” と、しっかり韻を踏んでるところが、さすが岡村ちゃん。今なら「VR やって フェスに行って LINE友達と Netflix 見てる」ってとこだろうか。それだと韻は踏めないけど。
元カノと復縁したい男心をストレートに歌った「カルアミルク」は、今もベイベ(岡村ちゃんファン)の間で人気が高い。2019年秋のツアーでも一部の会場で歌われたが、イントロが流れると大きな拍手が沸き起こった。
歌詞をかみしめてわかる恋の味、カルアミルクがぴったりくる理由
リリース当時は、「カルアミルク」というタイトルそのものが気になった。カクテルのカルアミルク(正確にはカルーアミルクというらしい)が流行ったのは、カフェバーブームが起こった80年代半ば。90年には、すでに流行遅れとなっていた。元カノとの思い出のカクテルにしても、微妙に古いなぁ…… と。
だが、歌詞をかみしめるとよくわかる。甘くて、ほろ苦くて、背伸びしていた昔の恋には、ソルティドッグでもモスコミュールでもなく、カルアミルクがぴったりくるのだ。
電話なんかやめてさ
六本木で会おうよ
いますぐおいでよ
仲なおりしたいんだ
もう一度 カルアミルクで
カルアミルク飲んでたあの頃はよかったね…… と、過去を懐かしむだけじゃない。“今” と “これから” をサビに持ってくるところも好きだ。知らない女の子とチャラくオールしてた岡村ちゃんが、もう一度純粋さを取り戻すためのカクテルがカルアミルクだったんだね、きっと。
名曲「カルアミルク」の誕生は西麻布レッドシューズ?
そういえば、80年代後半から90年頃にかけて、カフェバーの走りとなった西麻布レッドシューズでアルバイトをしていた友人がいる。多くの業界人が訪れたレッドシューズに岡村ちゃんも、尾崎豊、吉川晃司と連れ立って、ときどきやって来たらしい(友人は3バカトリオと呼んでいた……)。岡村ちゃんがカルアミルクを飲んだのはその頃だろうか。
今の若者には、背伸びしてカフェバーでカクテルなんて、ピンとこないのかもしれない。ストロング系のアルコール飲料を家飲み(若い子は宅飲みっていうの?)して、手っ取り早く酔う…… なんてのが主流だろうか。
ストロングを題材にした、ピュアなラブソングなんて作れないだろうなぁ。と思いつつ、天才・岡村靖幸なら、うっかり作っちゃいそうな気もする。実は、カルアミルクのアルコール度数は、ストロング系アルコール飲料とそう変わらないらしい。
2019.11.23