クラシック音楽の “古楽” というジャンルをご存知でしょうか?
クラシックの中でも最も古い時期のバロック、ルネサンス音楽などの総称です。交響曲などとは違って素朴で自然な佇まいで、崇高な気持ちにさせてくれます。
そういったものの中で世界でかなりの知名度があるのが無伴奏合唱の宗教音楽、グレゴリオ聖歌(グレゴリアン・チャント)です。
グレゴリオ聖歌自体はさまざまな解釈があり、難解なうえ数多くの種類が出回っているので、掘り始めるととんでもないことになるのですが、どれをチョイスしてもハズレがありません(というかバカな私には違いが何となくしかわかりません)。
そんなグレゴリオ聖歌、いまや映画やCMなどいろんな場面で使用されるのでみなさんもどこかで一度は聴いたことがありますよね。そして、この聖歌を一気に世界に知らしめたのが、そう、90年にリリースされたエニグマのヒット曲「サッドネス」です。
ソウル Ⅱ ソウルなどで流行し始めていたグラウンドビートに聖なる古楽合唱をのせた楽曲は、その斬新なアイディアもさることながら、何といっても気持ちよく癒されるそのヒーリング効果に共感が集まりました。
ワールドミュージックやヒーリングミュージックの流行もあって、アディエマスとかディープ・フォレストとかもヒットしましたよね。
さらには聖歌そのものにも注目が集まり、グレゴリオ聖歌の代表的なアルバムなどはクラシック業界では異例の大ヒットにもつながりました。
普段ポピュラー音楽しか聴いてなかった私は、何じゃこりゃ? 状態でしたが、初めて感じる耳心地の良さと勢いでグレゴリアン・チャントのアルバムを買ってしまいました。BGMだけの目的でアルバムを買ったのはこれが初めてかもしれません。
デビューヒットが強烈すぎてエニグマは次のヒットを作るのが難しいんじゃないかと個人的には思っていたのですが、「エイジ・オブ・ロンリネス」「リターン・トゥ・イノセンス」(やずやのCMを見ると何となくこの曲を思い出してしまいます)などのヒットを記録、クラシックやワールドミュージックとの見事な融合で活動を続けています。
このエニグマ、当初はメンバーなど謎に包まれてましたが、後にドイツ出身のマイケル・クレトゥとサンドラ・アン・ラウアーによるユニットということが明かされました。
驚くべきはサンドラ。なんとこの人、あのアラベスクのメインヴォーカルだったのです! もう一人のマイケルもアラベスクのツアーメンバーで、サンドラと結婚していたという(のちに離婚)…
アラベスクといえば、70年代末に日本でも大ヒットした「ハロー・ミスター・モンキー」ですよ! ディスコミュージックから、まさかのグレゴリアン・チャント!!
80年代も終わり、90年代という新しい時代の担い手が現れたと思って聴いていたエニグマ。実は70年代からの古参によるものだったということを後になって知るのでした。
2017.05.15
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