大学時代のバイトのない日の放課後の定番。筋肉痛の日(笑)もそうでない日も、渋谷のTOP DOG。道玄坂の焼き鳥屋の日も学校の横の母娘のやっているあたたかい料理屋さんの日もあったけど、TOP DOGにはよく行った。店員さんもかっこ良いんだけれど、地味な私も気後れせずに入れる貴重なお店だった。名誉のために申し上げるが、一緒に遊ぶ友達はイケてた(笑)、そして、それは今も変わらず。
ディスコではユーロビートの時代に、店内にレコードが積み重なるTOP DOGの選曲は大人でかっこよかった。知っている曲はほとんどなかった。でも居心地がよかった。だからどうしてこの曲がパット・メセニーの曲だとわかったのか、よくは覚えていないのだけれど(そもそもパット・メセニーを知らなかったのだし)、探し当てた時は「やった!」と小躍りしたと思う。
この曲は行けばとにかく毎回かかった。というのも夕方、店内の照明がひとつ暗くなり、夜の時間帯にかかる定番の曲だったからだ。
「あ、もうそんな時間?」
と気づくのだけれど、そこからまた1時間、2時間。何杯カクテルをおかわりしたことだろう。何切れクアーズの瓶にライムを押し込んだことだろう(笑)。
いくら飲んでも横浜の家まで帰らなければならない使命感で絶対に酔っぱらわない私だったが、きっとそれだけでなく、私のようなお子さまには少々薄めなアルコールを作ってくれていたのだろう。
パット・メセニーの曲は私にとって旅の途中を感じさせる。スペイン坂を降り駅に向かい家路につくのも、毎日学校へと職場へと向かった道も、実際遠くまで旅したことも、家から大して出られずじれったく感じたことも、全てが今に繋がっていて、そしてまだまだ遠く先を見させてくれる。
ひとりぼっちでも大勢でいても、なんとかなるんじゃないかと希望をもつのは、強く未来を信じる心や、または過去から照らされる光のお陰の場合もある。激しくどん底の時さえも。そんな道を繋いでくれるようなパット・メセニーだ。
「アー・ユー・ゴーイング・ウィズ・ミー?」
この曲を聴いていると、その答えにノーはないんじゃないかなあ、なんて思うのだ。どんな人も時の流れの中にいるのだから。
2016.12.19
YouTube / Poo Hiro
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