応援する人も応援されたい。
応援というとなんだか大げさというか、はたまた軽いような気がするが、親が子供の成長を見守る、上司が部下の成長を見守る、そんな営みが人の世にはある。
この季節になると流れてくる受験生を応援する CM。中でもカロリーメイトはかなり力を入れて毎年制作しているなあ、と観ていた。レミオロメンの「3月9日」を使ったものも良かったけれど、今年のザ・ブルーハーツの「人にやさしく」も流れるたびに涙がじわり。
ところが、当の受験生たちにとっては「そんなにプレッシャーをかけないで」というネットの話題。
なかなか頑張っている人を応援するのは難しい。その証拠に親子であれば、「そんなこと、わかってるし!」とキレられることが何十回、何百回あるだろうか。かなりヌケ輔な私でさえそうなのだから、普通のお宅、きちんとしたお宅では大変であろう。それともきちんとしたお宅のお子様はそんなことを言わないのだろうか?
もしかしたら、私が CM を観て涙してしまうのは応援される側でなく応援する側だからなのだろうか。
でもさー、と思う。
応援したり、支えるのもすごく忍耐のいる終わりなき世界ではないか、と。むしろ誰か私を応援してくれ! と。私もファイターなのだよ、と。そんなダメな私をあの CM は「頑張ってるじゃん!」と肩をポンと叩いてくれる。もしかしたら、あれは応援している人のためにあるのかもしれない。
常に人は過去に自分が頑張れたこと、頑張れなかったことの最前線に立っているわけで、見守っている子供たちや家族や友人、親しい人、応援している誰かを自分と重ねて見てしまうこともあるのだ。だから応援したくなるし、たまに余計な一言がでたりするのだ。
だからカロリーメイトさん、これからもあの CM を作り続けて欲しいなと思う。だって多分頑張っている人よりもその人を影で支えたり応援している人たちの方がうんと多い。
なんだかんだ「そんなこと、わかってる」とキレる場所があることは幸せである。「CM がプレッシャーだ」って呟く場所があることが大切なんじゃないかな。
だって受験に限らず大変なものはどうしたって大変なんだもの。つい何かのせいにして逃げたくなるものだ。弱音くらい吐こう。そして、気がついた時、弱音を吐く場所があったことに感謝すればいい。そんなときは「人にやさしく」を自分で思いっきり歌うのも良いかもしれない。CM ではザ・ブルーハーツが歌うのではなく、受験生たちに歌わせている。「気が狂いそう」で始まるこの歌を。
ガス抜き万歳である。世の中の誰かを見守り、支えている方々も、「期待はずれの 言葉を言う時に 心の中では ガンバレって言っている」と繰り返し熱唱してはいかがでしょう?
2019.01.29
YouTube / 大塚製薬 公式チャンネル
iTunes / 人にやさしく - Single THE BLUE HEARTS
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