数あるクリスマスソングで一番好きなのが「サンタが街にやってくる」である。それがどうした? と問われれば返答に困る。だって一番無難なんだもの。 以前、ユーミンの「サーフ天国、スキー天国」を聴くと鼓動が早くなると言うコラム <トラウマという音楽ジャンル、冷や汗ものの「サーフ天国、スキー天国」> を書いた。読んでいただいた方はわかると思うが、それと同様に「恋人はサンタクロース」を聴くと心臓発作を起こしそうになる思い出が蘇る。でも、「サンタが街にやってくる」なら子どもから大人まで安心して聴いていられる! これからの季節、電飾で彩られた街には白いコートを着た女と、カラフルな包装のプレゼントを持った男が楽しそうに手をつないで歩いている姿を見かけるようになる。片や山下達郎の「クリスマス・イブ」を聴くと切ない気持ちも心に満ちてくる。 昔は俺だって……。 いやいや、不二家のクリスマスケーキを買って家路を急ぐお父さんだってかっこいいぞ。 以前、映画監督の故伊丹十三が、世界でヒットを飛ばすには、誰が聞いても理解できる言語で、誰が見ても分かるストーリーを作ればいい、と言うようなことを言っていた。この「サンタが街にやってくる」はそう考えると、まさに世界中でヒットするべく生まれ、現に今でも歌い継がれている。 ジャクソン5、ブルース・スプリングスティーン、マライア・キャリーなどなど、どれだけの人がカバーしていることだろう。分かり易い英語で分かり易い歌詞。これが世界中でヒットを飛ばさないはずがない。中でも85年に発表されたブルース・スプリングスティーンのカバーは、いかにも楽しそうなパーティ風のアレンジで、かつ彼の個性も伝わってくる秀作だと思う。 同じようにゴスペルを現代風にアレンジした「天使にラブ・ソングを」もそうだが、一流と言われるミュージシャンに掛かると、時として音楽が別の顔を見せることがある。いずれにしても、この曲が流れればみんなハッピーになれる。この曲を聴いてブルーになるのは七面鳥ぐらいだろう。 あなたからメリークリスマス わたしからメリークリスマス サンタクロース・イズ・カミン・トゥ・タウン! 編集注: ブルース・スプリングスティーンの「サンタが街にやってくる(Santa Claus Is Coming to Town)」は、1975年のライブを収録した音源。1981年にリリースされたセサミ・ストリートの企画盤『イン・ハーモニー2』に収録され、これが初出となりました。しかし、スプリングスティーン自身のアルバムには未収録だったため、1985年にシングル「マイ・ホームタウン」のカップリングとして改めてリリースされています。
2016.12.02
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