私の音楽ジャンルに「トラウマ」というジャンルがある。特定の歌を聴くと、鼓動が早くなり冷や汗をかいてしまい、この年になると救心なしでは聞けない楽曲である。その代表曲がユーミンの「サーフ天国、スキー天国」(80年)だ。この曲は1987年に公開された映画「私をスキーに連れてって」の主題歌になったのだが、その年が人生で二回あると言われている私の二度目の「モテ期」と重なった(ちなみに一回目は幼稚園年長さん)。
当時私は大学でスキー部に所属していた。つき合っていた彼女は同じスキー部の後輩である。自分で言うのもなんだが、スキー技術はソコソコのモノがあり、クラブの合宿費用は志賀高原でインストラクターをやって稼いでいた。スキー場では必ずしもイケメンがもてる訳ではなく、必ずしも金持ちがもてる訳でもない。しかし、スキーが上手だと86%以上の確率でもてるのである(時の旅人リサーチ調べ)。
さて、スキースクールでは、初めてスキーをする人を「マルハ」という。語源は「まるで初めて」の略である。ある時そのマルハの女の子を教えたのだが、東京にもどったらデートして欲しいという。今で言う逆ナンである(...モテ期なので)。後日東京に戻ってデートした訳だが、その時見に行ったのが「私をスキーに連れてって」であった。その後、渋谷でお酒を飲み盛り上がり...(以下省略)
当然我がスキー部でもその映画は話題になったが彼女の手前、小生は「まだ見てない」の一点張りで通していた。そんなある日、彼女が「たまには映画デートしたい」と申し入れてきた。バレるはずは無いのだが、小心者の小生は、映画館に向かう道中から心臓がバクバクいっている。取りあえずボロが出ないように、映画が終わるまでは無口を決め込んだ。目はスクリーンを見ているのだが、内容は一向に頭に入らない。まあ、一回見てるから頭に入らなくても影響は無いのだが。
冷や汗をかきながら、なんとか虎口を乗り切って事なきを得たのだが、それ以来「サーフ天国、スキー天国」を聞くと鼓動が早くなるという病状が出るようになってしまった。トラウマ音楽の類似ジャンルとして、トラウマレジャー施設やトラウマ観光名所などがある。取り分けディズニーランドに行くと心臓麻痺を起こしそうになる。
2016.05.22
YouTube / teammtmarron
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