2018年3月現在、デビュー37年目の全国ツアー『THE MODS TOUR 2018 “EL SKULL ROLL”』で全国の会場を沸かしている THE MODS。
バンドの活動歴と比例して、オーディエンスの年齢も上がってきているのは事実だが、僕らが THE MODS に求めるものは決して懐かしさなんかではない。たとえ、30年前の楽曲であっても、それは、それぞれの人生の中で深化し、未来へ繋がる極上のロックンロールだということ。オーディエンスの体に染み込んだ楽曲を奏でるのは現在進行形のバンド、THE MODS だ。彼らの軌跡には、ファンひとりひとりの人生が重なり、その先にある希望を示唆してくれている。
そんな THE MODS の活動歴の中で、最も音楽的な変革があったのが1985年。その前年彼らは、全国100か所を周る『100Pツアー』を敢行。ロックンロールバンドの宿命ともいうべき過酷なツアーを終わらせると、すぐにメンバー自らも出演した映画『夜のハイウェイ』(1985年)の制作に取り掛かり、同時にレコーディングに入る。
完成された5枚目のオリジナルアルバム『BLUE~Midnight Highway』(以下『BLUE』)は博多時代の楽曲「夜のハイウェイ」「BABY BLUE」を収録しながらも、より大きな展開を目論んで、それまでの THE MODS とは全く趣の違ったものとなり、ロックンロール一辺倒では無くコーラスやピアノなど多彩な楽器を導入し、鮮やかな仕上がりになっている。
シングル「激しい雨が」のヒット、度重なるテレビ出演、マクセルカセットのCM出演など、活動の幅を限定することなく、自分たちの音楽をお茶の間にまで浸透させた THE MODS の新たな音楽性が、このアルバム『BLUE』には集約されていた。
『BLUE』そして、この『JUST A PRETENDER』と、1985年の THE MODS の世界はロックンロールバンドとして括れないほど深い音楽性を醸し出すようになった。しかし、その音楽性と相反して、デビュー当時からのファンの心には、彼らはどんな方向に行ってしまうんだろうという疑問や不安が渦巻いていたことも事実だ。しかし、THE MODS は自らの原点であるライブバンドとしての宿命を忘れていなかった。
つまり、彼らは『BLUE』『JUST A PRETENDER』で培った音楽的センスを基盤とした楽曲を生み出しながら、ロックンロールの危うさと衝動を存分に堪能できるライブを継続しているのだ。
僕が初めて THE MODS のライブを観たのは『GANG TOUR』と銘打った1983年10月10日の中野サンプラザホールだった。人生の傍らには常に THE MODS の音楽があった。そして、50を目前にした僕が、あの15歳の夜と同じようにときめいた気持ちで THE MODS のライブに足を運んでいる。